荒川修作の軌跡と奇跡
デュシャンやハイゼンベルクに見出された荒川修作は、国内では、瀧口修造、三島由紀夫、岡本太郎、中村雄二郎などが、海外では、デリダ、リオタールなど多くの哲学者、科学者、芸術家が、彼の思想と活動に共鳴し、影響を受け、多くの印象的な荒川論・エッセイを残している。
現代美術・建築・思想において重要な人物でありながら、荒川の活動の全体像をつかめるような本はまだ出ていない。本書は、これまでの経歴および難解とされるその思想の平明な解説を、さらに荒川×塚原対談を収録し、荒川自身の言葉で、ネオダダの頃や、デュシャンやハイゼンベルクなどとの関係、養老天命反転地の真の構想、そのほか実現しなかったプロジェクトや、現在構想中のプロジェクトなどが語られる。略年譜やキーワード解説、著作リスト、さらに貴重な写真や図版を多数収録し、ネオダダ時代から、養老・三鷹にいたる彼の半世紀に及ぶ活躍を一望できる。
■目次
第1部 荒川修作の軌跡
・最初の衝撃 -ラスコー洞窟から三鷹天命反転住宅へ
・かびと棺桶と -ネオダダから日本脱出へ
・ニューヨークとデュシャン -モダンアートの反転
・マドリンとの出会いと「意味のメカニズム」 -思考実験としての芸術へ
・BLANKと「見る者がつくられる場」
・「死なないことに決めた」 -奈義の龍安寺と養老天命反転地
・三鷹天命反転住宅と「建築する身体」 -アーティストからアーキテクトへ
・天命反転、その先へ -「死ぬことは法律違反です」か?
第2部 荒川修作の奇跡(荒川修作×塚原史 対談)
・よみがえる半世紀前の「奇跡」
・東京からニューヨーク、ネオダダから「意味のメカニズム」へ
・「天命反転」の試み -鑑賞の場から生活を変える場に
・天命反転のその先へ
・21世紀の新しい産業をつくる
・分析から総合へ -モダンとポスト・モダンを超えて
付録
略年譜
ガイド 国内で荒川修作作品と出会える場所
キーワード解説
著作リスト
参考文献リスト
著者:塚原史
出版社:NTT出版
サイズ:A5
ページ数:255
発行年:2009.04
