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みんなの建築コンペ論 新国立競技場問題をこえて

セール価格 2,860円(税込)

建築コンペは、公共的価値を高める装置として、広く行政に取り入れられ、建築的にも社会的にも価値のある建築物を、各所にもたらしてきた。

しかしながら、新国立競技場問題は、それが現代社会において本当に価値をもたらすものなのか、という問いを突きつけた。むしろ、そこであらわになったのは、建築界と社会との絶望的なまでのコミュニケーション不全であった。本書は、新国立競技場問題を見つめてきた、建築家と建築史家が、その失敗を検証し、建築コンペの歴史・現状を詳らかにしながら、現代社会にマッチする建築コンペのモデルを提案する。

■目次

序 誰がためにコンペはあるのか

第1章 傷だらけのコンペ 新国立競技場コンペをめぐって

1 「新国立競技場基本構想国際デザイン競技」

2 専門家の異議から、白紙撤回へ

3 やり直しコンペの開催

4 社会はコンペで何を得たのか

第2章 コンペの歴史が語ること

1 便益への欲望 便利で利益のあるものをつくりたい

2 美麗への欲望 美しいものをつくりたい

3 継承への欲望 新人に機会を与えたい

4 似姿への欲望 「われわれ」にカタチを与えたい

5 調和への欲望 すでにある環境に合うものをつくりたい

6 公平への欲望 つくるものを公平に選びたい

7 破壊への欲望 いままでにないものをつくりたい

8 みんなの欲望をカタチにする装置としてのコンペ

第3章 日本のコンペの仕組みはどうなっているのか 設計発注方式の変遷

1 日本のコンペのいま

2 設計発注方式の種類

3 入札と随意契約

4 特命から「プロポーザル」へ

5 品確法とコンペの消滅

6 建築の専門家はどのように発言してきたのか

7 コンペを継承していくために

第4章 「いい建築」を合意するプロセスへ ポスト新国立競技場の建築コンペ像

1 「善きもの」としてのコンペ

2 現代社会におけるコンペの弱点

3 コンペという概念を更新する

4 これからのコンペのための三つの提言

5 コンペの再構築に向かって

終章 コンペがつくる「いい建築」

著者:山本想太郎、倉方俊輔

出版社:NTT出版

サイズ:四六

ページ数:237

発行年:2020.07