土木と景観 風景のためのデザインとマネジメント
土木の役割は変わりつつある。つくる時代から維持・管理の時代へ移るその過程には、市民の意欲と参加が欠かせない。構造物の建設だけでなく、地域の生活に密着したつくり方・使い方のマネジメントが求められる。今日の土木技術者が持つべき目標と役割を、交通・政策・防災・参加・歴史の視点から気鋭の研究者が論じた意欲作。
■目次
・序 景観法時代の地域と土木のあり方 田中尚人
・1 風格ある景観と「行動変容」 風景にのぞむ心のあり方 藤井聡
良好な景観・美しい風格ある国土/美しい部屋と醜い部屋/景観問題における「心理的方略」/良好な景観のための持続的取組み/天賦の景観
・2 地域資産としての土木施設へ 多様な主体が進める風景づくり 秀島栄三
土木施設整備の時代変化/地域資産を守る営み/地域資産管理論の構築に向けて
・3 参加による景観デザインの信頼性 風景と市民をつなぐ試み 柴田 久
インフラストラクチャー・デザインの行方/暮らしの風景と景観法制度の展開/対話と実体験をもつデザインプロセスの効用/参加のプロセスからデザインの質を考える/生活者の意志を生み出す参加とその信頼性
・4 地域資産のリスクマネジメント 災害から風景を守るために 横松宗太
自然災害から地域資産を守るためのマネジメント/災害リスクマネジメントの基本的考え方/地域景観の災害リスクマネジメントに対する経済学的視点/市場による災害リスクファイナンス/防災技術者とのリスクマネジメント契約/災害リスクとコミュニティ形成/被災後の住宅問題と地域コミュニティ/災害への対処と地域力
・5 水辺に刻まれた風土の継承 風景が語る地域の歴史 田中尚人
土木史からみた地域の景観/防災文化景観の継承のために 事例I 輪中地域/生活文化景観の継承のために 事例II 郡上市八幡町/都市文化景観の継承のために 事例III 岐阜市長良橋周辺/風土に根ざした地域の営み
・結 風景づくりに求められる時間と協働のかたち 柴田久
・あとがき
著者:田中尚人、柴田久、藤井聡、秀島栄三、横松宗太
出版社:学芸出版社
サイズ:A5
ページ数:199
発行年:2007.04
