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モロッコの歴史都市 フェスの保全と近代化

セール価格 3,080円(税込)

モロッコは、保全と都市計画の壮大な実験場であった。フランスは、歴史都市を保全し、植民都市を別個につくりあげ、郊外には、理想に燃えて郊外住宅地をつくった。しかしこの分離は生活の論理に侵食され、破綻した。理念ではなく、地域の文化・生活や都市そのものの生きようとする意志に沿った計画論が、いま模索されている。

■目次

・序章 山田吉彦が描いた旧市街・新市街・郊外地

I部 分離政策による三地区の成立

・1章 旧市街 保護領下での凍結保存

1 前史・外来者の受容と都市形成/2 ハブスの成熟と再編/3 リヨテ総督の文化財保護政策/4 公私分離に基づく空間構成

・2章 新市街 植民都市の計画と建設

1 保護領化と土地の権利の行方/2 分離政策の都市像/3 アンリ・プロストによる新市街設計/4 街路線と土地区画整理によるゾーニングの実現

・3章 郊外地 イスラーム都市の人為的計画

1 都市に流れこむ離村民/2 郊外地の起源 ハブスによる都市開発のはじまり/3 ミシェル・エコシャールとCIAMモロッコ/4 アイン・カードゥースの開発

II部 崩れゆく分離・重層化する三地区

・4章 重層化の背景

1 流民の発生と居住形態の変容/2 地区間交流の進展と三地区の課題

・5章 旧市街を貫いた近代道路 街路線計画

1 街路線 オースマン流の介入術/2 旧市街の切開/3 プランと実現手法/4 不整形なファサード、切開された袋小路

・6章 新市街に埋め込まれた祈りの場 バロック都市のモスク

1 「祈りの場」としてのモスク/2 モスク創建の過程/3 ハブスの活用/4 モスクのデザイン

・7章 郊外地を変えた生活論理 寄付と増改築

1 寄付と増改築の原風景/2 CIAMが残した遺産/3 増改築のディテール

III部 都市政策の転換─保全と近代化を超える連携と重層化へ

・8章 三地区連携をめざす都市基本計画

1 都市基本計画'80 三地区連携による旧市街保全/2 都市基本計画'91 都市再編における重層化の支援/3 詳細計画へ

・9章 詳細計画による旧市街の重層化

1 フェス保全計画/2 重層化の計画的支援/3 旧市街への介入

・結章 都市の遺伝子に働きかける計画

著者:松原康介

出版社:学芸出版社

サイズ:A5

ページ数:271

発行年:2008.02