風景の思想

「日本人は風景をどのように見てきたのか」「これから風景とどのように関わり合っていけばよいのか」について論じた意欲作。哲学、中世史、美術史、民俗学、生態学、農学、景観、都市計画、建築学、河川工学、土木デザインの専門家が、根源に立ち返り、風景とのかかわり合いをいかに主体的に回復していくのかを明らかにする。

■目次

はしがき　西村幸夫

・第1部　日本人の風景の思想

　風景の中世史　身近な風景と身体　五味文彦

　広重に見る江戸の都市イメージ～武蔵野図の残像　大久保純一

　風景のフォークロア～街角に残る巨木と都市の記憶　伊藤廣之

・第2部　場所の風景とその思想

　郊外の風景～文明・文化の表象としての生活像　中島直人

　地方の中心商店街と中山間地域の風景～暮らしの風景とは何か、現状と今後　温井亨

　農と風景～風景としての百姓仕事の発見　宇根豊

　都市計画における風景の思想～百景的都市計画試論　西村幸夫

・第3部　風景づくりの実践とその思想

　文化的景観と風景～生活・生業の風景の持続と継承　井上典子

　河川風景の思想～自然と人為が織り成す風景　島谷幸宏

　身近な自然と風景～里地里山の再生による風景づくり　深町加津枝

　「生きた風景」へ～まちづくりと公共空間デザインの現代的意義　中井祐

　豊かな風景づくりへの哲学～まなざしの賑わい　桑子敏雄