中心市街地の創造力 暮らしの変化をとらえた再生への道
中心市街地はなぜ衰退したのか。都心が硬直し、消費者の変化に敏感な新しい起業者の参入を許さなかったからではないか。本書はまず市民の変化を消費、家族、労働の面から捉え、次に都心再生への端緒を掴んだ京都を事例に、街がどう呼応したかを見た。商店街救済や再開発ではなく、市民の創造性を活かす都心への大転換を提言。
■目次
第1部 暮らしの変化、都心の変化
・第1章 変わる市民、変わる家族と家計、労働
1 都心商業の危機─なぜ商店街は追いつめられているのか/2 モノからソフトへシフトする消費構造/3 家計の変化、家族の変化/4 労働時間の変化、時間消費が変化/5 変化する都心の住民と家族/6 都心のコミュニティはどう変わったか
・第2章 店が変わる、地域が変わる 増える業種と減る業種
1 元気な街にはわけがある 京都四条界隈/2 大型店頼りの京都駅周辺/3 二極化する郊外駅前商店街/4 郊外大型店地域に荒廃の兆し、夜間営業、犯罪の増加
・第3章 サービス化する都心、女性化する都心
1 都心ビルの変化、業務機能(銀行・証券)が流出/2 空いたテナントを埋めた業種、誰が都心に来るようになったか/3 女性化する都心、増える美容院とエステ/4 オフィスに取って変わる語学教室、学習塾/5 もう一つの賑わい健康・スポーツ系/6 都心から撤退気味のパチンコ、カラオケ系/7 なぜ美容院は増えるのか/8 日々女性化する都心、その先に何が見えるか
・第4章 誰が都心商業を支えているのか
1 商店街の歴史的変化と商店街振興策の行き詰まり/2 崩れた商業集積・商店構成の積層性/3 もはや不可能に近い商店街全体の救済/4 では誰が都心再生を支えているのか/5 小さな事業者、新規開業を支える地域金融が鍵
第2部 都市再生の方途
・第5章 心が弾む都心をつくる
1 都市商業が憧れの場をつくる/2 市民・商業者がつくる都市の文化とは/3 都市の文化的連続性を担う事業者の役割/4 ハコモノ、受身の文化からの脱却―地方都市の文化はなぜ再生しないか/5 文化産業を産む小都市とは
・第6章 訪ねて和む都市をつくる
1 変わる観光、観光地化する都心/2 都市型観光を支える元気な事業者/3 和装業界の新展開「勝負服としてのキモノ」/4 街を変える人々のネットワーク/5 事業者の個性をきわだたせる町家/6 これからの都心に相応しい町をつくる
・第7章 歩いて楽しい都心をつくる
1 モール化はなぜ進まないか/2 歩行者優先の実利を示す/3 都心の駐車場化を止めるための交通制御
・第8章 コンパクトな都心をつくる
1 中心市街地にはダウンサイジングが必要/2 都心の変化を地価でみる/3 都市開発の成果を見る指標としての地価変動/4 日本的エリアマネジメントと商業計画
・第9章 都心を守るために自治体がすべきこと 商業立地政策と商業計画
1 都心商業が再生する方策は豊富にある?/2 失敗した中心市街地の活性化施策/3 自治体にとってなぜ都心再生が必要か/4 大型商業施設の規制、京都市の商業集積ガイドプラン/5 より厳しい規制を望んだ金沢市、商業形成指針
・第10章 都心を守り育てる都市再生の手法 商業都市計画論
1 地方都市の再生に向けた地域経済の自立、都心を自らの手に/2 地方都市再生の処方箋/3 都心商業集積のダウンサイジング・モデル/4 創造的企業活動を支援するために
・終章 明日の都心に私たちは何を望むか
1 都心の暮らしを取り戻す、賑わいを取り戻す/2 都心の文化的連続性を取り戻す/3 市民に愛される都心をつくるために
・おわりに(謝辞)
著者:宗田好史
出版社:学芸出版社
サイズ:A5
ページ数:294
発行年:2007.12
