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社宅街 企業が育んだ住宅地

セール価格 3,300円(税込)

日本の近代化を支え、生産機能向上にまい進した企業は、福利施設として住居、娯楽施設、都市基盤等をも整備し、街をつくった。北海道から鹿児島に加え、日本統治時代の樺太、台湾、南洋群島の12事例を取り上げて、先進的な試みに満ち、現代にもひそやかに息づく社宅街の、成立と変容を明らかにする。社宅街データベース付。

■目次

・第Ⅰ部 近代の企業開発住宅地─社宅街

1章 企業が育み、企業とともに成長する街/「社宅」および「社宅街」とその変遷

『職工問題資料』から見た社宅の先進性/社宅街の類型化/社宅の暮らしを支えたもの

2章 社宅を読み解く視点

鉱業の社宅/紡績業の寄宿舎/工業の社宅/海外の社宅

・第II部 社宅街の誕生と展開

1章 苫小牧/カンパニータウン

王子製紙の北海道進出とその背景/「企業城下町」苫小牧の形成/社宅街の変遷/社宅/社宅街開発による都市生活の享受/単一企業都市・苫小牧の現在

2章 鴻之舞/消えた東洋一の金山

住友による金山の開発/社宅街のうつりかわり/人々の暮らしと住友による庇護

3章 釜石/近代製鉄発祥の地

社宅開発と更新・分譲/社宅の配置/社宅の平面構成と変遷/

釜石製鐡所社宅街の福利施設/社宅と釜石市の現在

4章 小坂/記憶をつなぐ鉱山町

近代秋田の鉱山事情と小坂鉱山/鉱山町小坂の原型とその空間構成/鉱山「都市」小坂の形成/記憶をつなぐ鉱山町―鉱山町小坂の現在

5章 日立/鉱山町から工業都市へ

日立鉱山の社宅街/日立製作所の社宅街/日立の産業遺産

6章 生野・神子畑・明延/鉱石の道がつなぐ三鉱山

近代生野鉱山の広がりと変遷/旧銀山町に混じり込む近代の社宅街/支山の開発と飛び地的社宅街の建設/三鉱山の社宅街の構成

7章 倉敷/大原孫三郎の労働理想主義と寄宿舎の改良

倉紡の設立と初期の寄宿舎/分散式家族的寄宿舎と御崎社宅の建設/万寿工場の新設と田園都市風社宅/分散式寄宿舎への回帰/職員社宅の建設/大原孫三郎の「労働理想主義」と福利施設/郊外開発と道路計画/企業家の限界と集合式寄宿舎への集約

8章 新居浜/社宅街という生活文化の遺産

「文化財」としての社宅街―新居浜の住友山田社宅/別子銅山の始まりと展開/谷間斜面に建つ東平の社宅街/島を埋め尽くす四阪島の社宅街/なだらかな傾斜地の新居浜・山田社宅/長年の企業活動が空間化した遺産としての社宅街

9章 串木野/「伝統」対「革新」、「島津家」対「三井財閥」

薩摩の金山―山ヶ野と芹ヶ野/島津家鉱業館と役宅群/三井鉱山による再編と社宅群/生き続ける鉱山と社宅街

10章 樺太/「内国植民地」の社宅施策

施設の構成と配置/社宅とその変容/僻地での生活を支えた施設/樺太における製紙業社宅街の位置づけと足跡

11章 台湾・金瓜石/植民地統治下の社宅

金瓜石鉱山を巡る経営者の変遷と増加する鉱夫/斜面に展開する社宅街/社宅街の生活を支えるさまざまな施設/「光復」後の社宅街/「黄金博物園区」になった金瓜石鉱山

12章 南洋群島/熱帯気候下の社宅

南洋群島を支えた製糖コンツェルン―南洋興発/常夏の楽園サイパンの一大RC造社宅街/熱帯気候下の社宅と生活

・第III部 社宅が語る近代日本の住文化

実習報文が映し出す生きられた住宅街/社宅が作り出した先進の街/「博愛主義」の前提にあった共同体意識

・社宅街データベース

著者:社宅研究会

出版社:学芸出版社

サイズ:A5

ページ数:241

発行年:2009.05