オランダの持続可能な国土・都市づくり 空間計画の歴史と現在
干拓と治水をルーツとするオランダの空間計画制度や地域づくりには 対等な参加と合意という伝統と 技術偏重ではないソシオクラートの存在 戦略で柔軟な計画がある。本書はその歴史的経緯から 最新の国土・都市づくり計画 住宅政策 団地再生 自然保護の事例まで学際的な視点から紹介し その現代的意義を解き明かす。
第1部 国土づくりの歴史
1章 干拓と治水による国土づくり
低地の国・オランダ/干拓と治水の方法
集落コミュニティから都市自治体へ
2章 中世期の都市づくり
都市づくりのタイポロジー
干拓と治水で培われた文化遺産
第2部 膨張過程における都市の成長管理
3章 アムステルダムの都市拡張計画
都市成長の歴史的背景
アムステルダムの都市拡張計画案
住宅法から始まった空間計画制度
時代区分別の市街地形成
都市再生に向かうアムステルダム
成長管理に導いた要因
4章 多心型環状都市-ラントスタットにみる成長管理
国土計画と多心型環状都市-ラントスタットの位置づけ
国土計画の展開
ラントスタット・ドクトリンの確立
5章 成長管理を支えた空間計画制度の特徴
EU、国、州、自治体の空間計画制度
3層レベル(国、州、自治体の空間)の相互関係
3つの計画理念
戦略的プランニングの優位性
第3部 持続的発展をめざす挑戦
6章 住宅政策の改革-住宅協会の民営化
社会住宅の王国/社会住宅の歴史
社会住宅に関する国・自治体・協会の役割
改革への道程/新たな課題への挑戦
自治化社会への傾斜/オランダモデルの行方
7章 ベイルマミーア高層住宅団地の再生計画
入居後早くも「問題団地」に
ベイルマミーアの住宅地計画
失敗の連鎖反応/再生事業に至る経過
統合的アプローチによる再生事業
事業の評価と支援事業/再生事業支援の国施策
8章 国土生態ネットワークによる自然回復計画
壮大な自然回復プロジェクト/自然衰退の現状と課題
3次にわたる自然政策計画の策定/生態系NETの空間システム
生態系NET事業の実施例/生態系NETの面積
生態系NETの多面的機能/生態系NETの推進体制
自然エリアの管理/生態系NET事業の総括
生態系NET事業成功の要因
9章 ヘルダースバレ土壌汚染地域の環境再生計画
国連リオ会議・アジェンダ21
空間計画と環境計画の統合/合意形成のプロセス
再生事業の内容/教訓とすべきこと
第4部 持続可能性をめざすオランダモデルの行方
10章 21世紀型オランダモデルの到達点
11章 21世紀型オランダモデルの模索
著者:角橋徹也
出版社:学芸出版社
サイズ:A5
ページ数:271
発行年:2009.11
