和風胚胎
世阿弥の舞台、平等院鳳凰堂、平城京東大寺、東大寺勧進職・重源、海の神殿・厳島神社、能登・時国家、日蓮の鎌倉、後醍醐の吉野御所、南北朝の社寺、義政の銀閣。異能の建築家が日本中世の建築様式、書院造と数寄屋の深層に迫る。建主の歴史上の姿を浮き彫りにし、飛騨の匠に代表される工匠たちの在り様を探り、和風建築の基層をたどる。
■目次
序章 日本建築の闇
歴史空間の深層/日本建築の光と影
・1章 世阿弥の魂魄
高くなる舞台/魑魅魍魎/後世を支配した世阿弥の魂魄/舞台を造ったのは誰か
・2章 鳳凰堂と曼荼羅
日本唯一の独創/正統日本への背反/曼荼羅の変容/独創を支えた工匠/飛騨匠初期伝説/飛騨匠の淵源
・3章 東大寺勧進前夜
平安京の頽落/海の都/厳島神社、海に移された神殿/東大寺勧進
・4章 怪僧重源の空間意識
鬼の世界への参入/異界への視座/何故「天竺様」か/早過ぎた森への帰還
・5章 平家伝説の里
天保の「中納言の間」時国家の謎/大工への転身/祖谷の葛橋/悲恋の鶴富物語
・6章 海人の子、日蓮
「海人の子」/鎌倉・安房・伊豆の空間/日蓮の建築風景/遥かなる波涛を越えて
・7章 太平記の空間
名和長年の船上山/後醍醐の吉野潜幸/行宮様々/吉野御所/工匠曼荼羅
・8章 歴史の闇
北畠満雅の旗揚げと敗北/禁闕の変前後/一乗谷への展開/飛騨匠の戦国/繁栄の象徴守護屋敷
・9章 川上村の怪
長祿の変/敗者の魂魄/数寄屋誕生/谷間の寺院
・10章 義政の心象風景
現実の修羅場、応仁の乱/誘う狐狸の里/銀閣寺幻想/東求堂抽象はじめ
参考文献
あとがき
著者:渡辺豊和
出版社:学芸出版社
サイズ:A5
ページ数:303
発行年:2007.12
