雪と建築
日本各地で降る雪の性質や量は、気温や地理的要因により異なり、建築物で起こる雪の問題を複雑にしている。また、地方の過疎・高齢化や都市の過密化、建築物の高層化に伴い、そこで起こる雪問題も変化してきている。本書は、雪国における建築計画において、検討すべき課題を整理するとともに、雪に配慮した建築物を設計する上で、必要とされる基本的知識をまとめた書。建築関係者、実務者などが雪にかかわる建築を企画・設計する際の座右の書である。
■目次
・1章 はじめに
本書執筆の背景
雪と建築/昭和・平成期に発生した豪雪被害/気候変動と豪雪災害/近年の豪雪による建築物の倒壊被害/現代の建築的雪問題
コラム 地球温暖化と雪の問題
・2章 雪の基礎知識
建築設計と雪
雪の基礎用語/地域により異なる雪対策/雪荷重の種類
雪の性質
雪が降る仕組み/雪質の変化/積雪の構造/積もった雪の動き/吹雪の基礎知識
コラム 氷コンクリート(小氷塊コンクリート)
・3章 雪に配慮した計画
配置計画
建築物の形状と積雪/建築物の配置と積雪/落雪・堆雪スペース
屋根形状と建築計画
屋根形状の選択/落雪による屋根雪処理/落雪現象/落雪の飛距離
歩行空間の要点
出入口・アプローチの雪対策/避難経路の雪対策
外装と建築設備
外装への着雪/高層建築物の雪対策/給排気口・室外機/太陽光発電設備/融雪設備
コラム 雪の吸音効果
・4章 屋根雪対策
落雪屋根
屋根葺材の選定/屋根葺材と滑雪
無落雪屋根
住宅における無落雪屋根/陸屋根と金属折板屋根/雪庇対策
屋根雪荷重
屋根雪荷重の基本/屋根形状と雪の積もり方/雪の重さの算定/屋根雪荷重の制御/屋根雪と地震
さまざまな屋根雪対策
大規模空間建築物の屋根雪対策/屋根融雪/融雪と氷結対策/雪下ろし
コラム雪煙(ゆきけむり・せつえん)
・5章 雪対策を検討する
雪対策の考え方
考え方・検討方法/気象資料の種類/気象資料の活用/気象資料の整理
雪対策の検討方法
野外実験/室内実験/吹雪風洞実験/数値シミュレーション
コラム雪質と雪祭り・雪遊び
・「雪と建築」に関わる主な機関
著者:日本建築学会
出版社:技報堂出版
サイズ:A5
ページ数:115
発行年:2010.08
