
ヨコとタテの建築論 モダン・ヒューマンとしての私たちと建築をめぐる10講
■特典 本書所収の「抜き書きノート」の追補版小冊子(おかわり版)付。
建築家は家屋の海原の中に聖堂をつくる。ヨコの広がりの内に、タテの力が働く場をつくり出そうとするのですー(本書より)
当たり前をじっくり考え直すこと、学び直すこと。
私たち=現生人類の本性に立ち返り、建築の思考をいきいきと語る。
相似の海としての「建物」の広がりから、「建築」はいかに世界と未来の幻視を立ち上げるか・・。
東京藝術大学大学院での講義から生まれた出色の入門書。
■目次
第1部 ヨコとタテ ヒトは世界を組み上げる(モダン・ヒューマン論)
・第1講 互換と累進 モダン・ヒューマン、その力のぎこちなさ
アナロジーの曲芸/自他に橋を架ける/不気味な累進性
互換性の思想/ぎこちなく世界へ
・第2講 形態と内容 地上の幻
生き続けるデコル論/相似と類似、イメージとコトバ
むしろ「ふさわしい」こと/幻視絵画の窓/そこは相似の海だった
・第3講 相対と絶対 数と幾何学の魔法
逆立ちが起きる/「1」はのぞく、なぜなら・・/拘束と自由
数の相対性と絶対性
第2部 ヨコにひろがる沃野 ありふれて、美しい(ビルト・ティシュー論)
・第4講 類型と組織 都市という織物の単位と積層
都市組織論と建物類型論/類型は少ないほどよい
モダン・ヒューマンの都市の建物/組織とは何か
都市の記憶/都市的事物
・第5講 自然と人工 なること/つくることは不思議な関係
構法の類型学/工作から組織へ/進化のエージェント/自然と人工
・第6講 平衡と進化 わたしたちは想念のなかで都市建築を分解する
かたい/やわらかい/あり方と動き方/平衡と進化
分解の宇宙/時間のカタチ
第3部 タテはいかに可能か バラバラな世界に(アーキテクト論)
・第7講 饒舌と沈黙 喧騒のなかのサイレンス
19世紀ジャングル 社会の誕生/異形の都市と想像の共同体
内容のインフレーション/ポチョムキン都市/亡霊都市/バラバラゆえに
・第8講 過去と未来 世界が壊れ、組み変わっていくとき
前講のおさらい/過去の終わり/過去から未来を見通す 大理論の時代
未来の幻視 人間身体そのものの更新/伝統からの反転
伝統の創造/やっぱり世界はバラバラ
・第9講 単純と複雑 多元的な世界をそのままに
Bでもあり、13でもあり アンビギュイティ
透明性 見えないものを見せる知覚の働き/ブリコラージュ/詩的言語
コーリン・ロウによるガルシュ/都市へ、社会へ
結語
・第10講 能動と受動 むすびにかえて
海に潜るように/能動と受動だけではない/スピノザの外態と内態
都市・建築のリアリズム再論/創作行為と内態(中動態)
第1の社会性 巻き込みと成長/第2の社会性 開かれと堆積
第3の社会性 虚構すなわち幻視を
・抜き書きノート
著者:青井哲人
出版社:慶應義塾大学出版会
サイズ:四六
ページ数:304
発行年:2023.01