建築はいかに社会と回路をつなぐのか
著者が過去に執筆した一連の著作を貫くテーマでもある「建築はいかに社会と回路をつなぐのか」。本書は、「建築」という具体的なモノを手がかりに「世界」を測定する試みである。文字通りの世界だけでなく、西洋と東洋、国家や宗教などの共同体、マイノリティ、男/女のジェンダーから「私」まで、さまざまにスケールを変え、また時代の変遷を追いかけながら建築と社会の関係を問い、行方を論じる。
■目次
・まえがき
グローバリズムの時代における建築と歴史
・歴史編
第I部 共同体と他者
となりのユートピア/世界の表象
建築史とフィールドワーク 文献資料の外側にあるもの
乱反射するオリエンタリズム
1492年 内なる他者の「隔離」、外なる他者の「発見」
アフリカン・アメリカン・アーキテクトの憂鬱
・歴史編
第II部 建築家と他者
ジェンダー論1 女性性をめぐって
ジェンダー論2 女性と建築家
自伝論1 建築家という<私>
自伝論2 建築界の黒羊を名乗った男 下田菊太郎論
遅咲きの建築家列伝
建築はいかに社会と回路をつなぐのか
・現代編
第I部 都市の記憶
日本国家を表象する建築/僕たちは靖国を知らない
ふたつのグランドゼロ/廃墟になる自由
重層的な時間を風景に刻む/近代の建築は愛されているか
ダム建設がもたらした現代の祝祭/博物館化する上海
歴史の天使が舞うベルリン
・現代編
第II部 都市の変容
*公共空間
リスボンの資産、現代の広場/グラーツの橋が教えるもの
シアトルの新しい図書の場所/ルツェルンをおおう大きな屋根
台湾の開かれたスタジアム
*文化戦略
都市的建築としてのビルバオの美術館/祝祭都市ヴェネチアの生きる道
マニラを支配した権力の建築/ソウルに生まれた新名所
*予防監視
99%と100%のあいだ/世界遺産の落書きに思う
新世界への扉を開くグーグル・ストリートビュー
*都市名所
シアトルと東京の塔
東京と名古屋の新しい顔となる高層ビル
ニッポンのドーム建築
21世紀を切り開く、鳥の巣
北京の忘れがたい兄弟ビル
・あとがき
ドバイ以後の世界を測定する旅とメディア
著者:五十嵐太郎
出版社:彩流社
サイズ:A5
ページ数:286
発行年:2010.01
