『作庭記』と日本の庭園
庭園は世界を映す鏡である。名園といわれる庭園はそれぞれ、人がどのような世界に生きてきたか、何を美と感じてきたかを雄弁にものがたっている。
日本最古の作庭理論書として知られる「作庭記」には、中世の人々の作庭技術のみならずその背後に宿る思想・美意識が反映されている。本書は、そうした着想から企画され、さまざまな専門分野からの意見を出し合い議論し、「日本庭園を通した古代・中世的自然観」の発見を試みた国際日本文化研究センターのシンポジウム「日本庭園と作庭記」の成果をまとめたもの。
■目次
・日本庭園の「誕生」と『作庭記』の意義 白幡洋三郎
・第I部 始原
華林園の記憶 江南から大和へ 多田伊織
祭祀と饗宴の庭 原田信男
臨池伽藍の系譜と浄土庭園 小野健吉
・第II部 創造
「作庭記」原本の再生 飛田範夫
浄土庭園と「作庭記」と「祇園図経」 外村中
「作庭記」にみる禁忌・陰陽五行・四神相応 水野杏紀
・第III部 成立
名所を詠む庭園は存在したか 河原院と前栽歌合を中心に 錦仁
四方四季と三時殿 日本古典文学の庭と景観をめぐって 荒木浩
鳥羽離宮庭園から見た鳥羽上皇の浄土観 鈴木久男
幻の庭園 本法寺蔵「法華経曼荼羅」化城喩品を例として 原口志津子
・第IV部 展開
鎌倉時代における離宮及び山荘と庭園 豊田裕章
南北朝時代の臨済宗幻住派・金剛幢下における境内空間 榎本渉
露地考 中国からみた日本の庭園美 陸留弟
著者:白幡洋三郎
出版社:思文閣出版
サイズ:A5
ページ数:353
発行年:2014.04
