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近代日本<陳列所>研究

セール価格 8,580円(税込)

本書が扱う[陳列所]とは、地方行政府によって「物産陳列所」や「商品陳列所」などという名称を冠せられて建設された公共の陳列施設である。これらは博物館関連施設、地域物産の販売所というように、現在の活用方法が異なるだけではなく、竣工時期、意匠、規模、構造、立地環境まで様々である。

この種の施設が、都市の農業・工業・商業を奨励する目的で各地に設置された経緯を検証し、制度・活動・建築を含めて都市との関わりに注目することで、明治から昭和戦前期の日本にあまねく普及した[陳列所]の実態を、豊富な図版とともに明らかにする。

目次

序 章 [陳列所]研究史と本書の視座

 [陳列所]とは何か/既往研究の成果/本書の課題と構成

第一章 一九世紀末における商品陳列機関の世界的流行

[Commercial Museum] あるいは [Export Samples Warehouse]

 一九世紀末における商品陳列機関をめぐる世界的状況/新陳代謝するミュージアム―ブリュッセル・コマーシャル・ミュージアムの誕生

第二章 明治初期の勧業政策と陳列施設

 明治政府の殖産興業政策/内国勧業博覧会の開催と政府主導の陳列施設/地方都市における博覧会開催とその常設陳列施設への展開―石川県を事例として

第三章 「通商博物館」設置計画と「商品陳列所」の受容

 明治政府による「通商博物館」設置計画/府立大阪商品陳列所の誕生

第四章 農商務省による[陳列所]組織化の試み―貿易品陳列館設立から「道府県市立商品陳列所規程」制定まで

 農商務省商品陳列館の設立―事業統合と庁舎建設/農商務省商品陳列館による地方[陳列所]の支援/「道府県市立商品陳列所規程」の制定とその効果

第五章 多様化する[陳列所]―内地・外地の[陳列所]

 内地の[陳列所]/外地の[陳列所][台北:台湾総督府商品陳列館・京城:朝鮮総督府商品陳列館・哈爾浜:哈爾浜商品陳列館(日露協会)・シンガポール:新嘉坡商品陳列館]

第六章 社会教育施設としての[陳列所]―山口貴雄による運営とその建築

 近代工業教育の成果としての山口貴雄/[陳列所]における山口貴雄の活動/山口貴雄の[陳列所]運営

結 章 近代日本の[陳列所]

 [陳列所]の誕生と展開/[陳列所]の特質/[陳列所]にみる近代の日本

あとがき/初出一覧/図版一覧

付録:[陳列所]建築一覧/索引(人名・事項・[陳列所])

著者:三宅拓也

出版社:思文閣出版

サイズ:A5

ページ数:640

発行年:2015.03