庭と建築の煎茶文化 近代数寄空間をよみとく
煎茶の流行、茶の湯(抹茶)の復興。近代茶道界はまさに煎茶・抹茶がせめぎ合い、そして融合する時代であった。
それゆえ、煎茶に興じた数寄者たちの好みや背後にある煎茶文化をふまえなければ近代数寄空間(庭・建築)は理解できない。大正以降、茶の湯の流行とともに煎茶文化そのものは陰に隠れても、庭・建築に取り入れられた煎茶的な趣向は、茶の湯の世界と融合し、新たな近代数寄空間を形成していったからである。
本書は、これまで茶の湯の視座からのみ語られてきた近代数寄空間を煎茶的要素からよみとき、新たな解釈を提示する。
■目次
・煎茶文化の統合 序にかえて
・近代数寄空間と煎茶趣味
近代庭園の空間的特質と煎茶
煎茶の場と環境
煎茶席の意匠的特質
【コラム1】植治と箒庵と有朋
【コラム2】小川可進―初代後楽
・煎茶流行の時代
煎茶文化
補論 煎茶の庭 その希求する源的世界
文人煎茶の庭
煎茶席と近代和風住宅
近代数寄者の煎茶と文人趣味
明治のニッポンにて、外国人がであった「cha no yu」と庭園
【コラム3】山紫水明処
【コラム4】甦る煎茶席―草野家・中津万象園
・煎茶趣味の広がり
煎茶席の歴史的・地域的特質
各地の煎茶文化―その伝播の要因および経路
煎茶文化の伝播と普及
【コラム5】渉成園の四方の門 西門から入園した頼山陽
・特論 「煎茶」の思想的・政治的景観
・終章 近代数寄空間の特質-煎茶と抹茶の融合
著者:尼﨑博正
出版社:思文閣
サイズ:A5
ページ数:352
発行年:2019.01
