
万博学 万国博覧会という、世界を把握する方法
万博学、それは万国博覧会という研究対象を通じて可能になる、大きな学際的人間学の営みである。
19世紀半ばに始まり、今日につづく世界最大の公式催事、本書は32本の論考で、万国博覧会のさまざまな側面に着眼し、掘り下げたその先に、人類世界の歩みを浮き彫りにする。万国博覧会とは「世界を把握する方法」なのだ。
■目次
・序説 万国博覧会という、世界を把握する方法 佐野真由子
・万国博覧会と「ピアノ」の誕生 井上さつき
・新興産業としての七宝業と博覧会 技芸と技術と近代工芸 武藤夕佳里
・勧農開物翁の幕末・明治 田中芳男と博覧会・博物館 沓名貴彦
・万国博覧会とオスマン帝国人の世界観 ジラルデッリ 青木美由紀
・渋沢栄一と万国博覧会
パリ万博(1867年)からパナマ太平洋万博(1915年)まで 関根仁
・BIEの設立と万博の20世紀
・国際博覧会の歴史に博覧会国際事務局(BIE)が果たした役割 岩田泰
・フランスと1928年国際博覧会条約 寺本敬子
・紀元2600年記念日本万博の計画とその周辺
1930年代の国際博覧会日本展示をめぐる連続性 増山一成
・戦時宣伝と写真壁画
山端祥玉と1939年ニューヨーク万国博覧会の[躍進日本]を中心に 白山眞理
・万博日本館にみる「展示デザイン」の変遷
(構成・執筆 執行昭彦、森誠一朗、岸田匡平)
・ポストコロニアル時代のアイデンティティ・ポリティクスと万国博覧会におけるフィリピン館 1958-1992 エドソン・G・カバルフィン
・[コラム]モントリオールの困惑 1967年博の日本館展示問題 市川文彦
・特集 1970年大阪万博
・[コラム]大阪万博への飛翔 清水章
・1970年大阪万博の基本理念
「万国博を考える会」による草案作成の背景と経緯 五月女賢司
・昭和天皇と万国博覧会 牧原出
・リニアと原爆
大阪万博日本館における科学技術展示の生成 有賀暢迪
・大阪万博における企業パビリオンのブループリント 飯田豊
・1970年日本万国博覧会における仏教的造形物の役割 君島彩子
・1970年キリスト教界における戦後主体性論争
大阪万博キリスト教館と万博反対運動 増田斎
・建築家と万国博覧会 EXPO'70の黒川紀章から考える 井上章一
・1970年日本万国博覧会の先進性と評価をめぐって
産業技術史の視点から 橋爪紳也
・世界を映し続ける万博
・堺屋太一オーラル・ヒストリー
・万博に戦後史を読む
沖縄海洋博(1975年)を中心に 聞き手:牧原出、佐野真由子
・沖縄国際海洋博覧会と沖縄観光 神田孝治
・展示装飾業からディスプレイ業へ 大阪万博前後からの展開 石川敦子
・万国博覧会に関する来場経験者の長期記憶
モントリオール、大阪、バンクーバー、ブリスベン、愛知の万博を題材に
清水寛之、デイヴィッド・アンダーソン
・[コラム]上海万博の「セルヴィス・ルソー」
グローバル・アート・ヒストリーへの階梯 鵜飼敦子
・物語作りとデザイン ミラノ万博 ウィーベ・カウテルト
・博覧会の「ゆきさき」を考える 博覧会をつくる現場から 澤田裕二
・万博における中国要素(プレゼンス) 江原規由
・万国博覧会の遺産としての博物館 夢の後始末をめぐって 中牧弘允
・近代博から現代博への運営システム転換 1851~2017
褒賞制・売却制・展示法に映った<世界> 市川文彦
著者:佐野真由子
出版社:思文閣
サイズ:B5
ページ数:556
発行年:2020.08