幻の東京オリンピックとその時代 戦時期のスポーツ・都市・身体
1940年に開催が予定されていたにもかかわらず、38年に返上された第12回東京オリンピック。「暗い時代」の出来事としてこれまで本格的に論じられてこなかったこの「幻の東京オリンピック」の実態を、中止にいたる国際政治の力学、総力戦体制下のスポーツ界の動向、都市の大規模開発の様子などを具体例に100点以上の写真・図版も添えて、多様な角度から照らし出す。
■目次
・はじめに
・第1部 オリンピックの政治的中立性!?
第1章 IOC会長バイエ=ラトゥールから見た東京オリンピック 中村哲夫
第2章 イギリス協調外交と東京オリンピック-「自然死」を待つ帝国
青沼裕之
・第2部 東京オリンピックの衝撃
第3章 東京オリンピックのインパクト-スポーツ空間と都市空間の変容
石坂友司
第4章 二つの東京オリンピック-広告グラフィズムの変容とプロパガンダ
竹内幸絵
第5章 アジアのオリンピック・東亜競技大会-紀元2600年の祭典
小沢考人
・第3部 総力戦とスポーツ界/武道界、都市
第6章 大日本体育会の成立-総力戦体制とスポーツ界
高岡裕之
第7章 武道界の戦時体制化-武道綜合団体「大日本武徳会」の成立
坂上康博
第8章 標的としての都市-厚生省による運動施設拡充政策の展開
坂上康博
第9章 都市の思惑-名古屋市瑞穂運動場の誕生
高尾将幸
・第4部 統制と奨励の諸相
第10章 学生野球の国家統制と自治-戦時下の飛騨穂洲
中村哲也/功刀俊雄
第11章 関西メディアと野球-戦時下の甲子園大会を中心に
西原茂樹
第12章 量産される集団体操-国民精神総動員と集団体操の国家的イベント化
佐々木浩雄
・あとがき 坂上康博
著者:坂上康博、高岡裕之
出版社:青弓社
サイズ:A5
ページ数:448
発行年:2009.09
