
空間と統治の社会学 住宅・郊外・ステイホーム
1990年代以降、バブル経済の崩壊とリーマンショックに象徴される経済的な危機や社会的な停滞のなか、都市空間や住居空間はどのように変容して、私たちはそのなかでどのような経験をしてきたのか。また、それを支えるテクノロジーは、私たちの身体にどのような影響を与えているのか。
開発と金融資本の結び付きや東京の再開発をたどることで「空間の動産化」を浮き彫りにして、集住空間のセキュリティやスマートシティの事例から住空間と統治のテクノロジーの関係を分析する。加えて、郊外の現在のありようやコロナ禍でのステイホームから、住まう空間が私たちに何を経験させているのかを明らかにする。
アンリ・ルフェーブルやミシェル・フーコーの議論を補助線にしながら、1990年代から現在までの空間の変容を具体的な事例からひもとき、流動性や利便性を求める空間の「不自由さ」を批判的に検証する。
■目次
序章 「空間の不自由」を問うということ
第1章 新自由主義と空間の暴力――金融資本と空間の接
第2章 都市空間の変容のなかのオリンピック――再開発のなかの建築と空間
第3章 囲われる空間のパラドックス
第4章 スマートシティと生政治――パブリック―プライベートの産業から住むことの統治に向けて
第5章 郊外空間の反転した世界――『空中庭園』と住空間の経験
終章 新型コロナ禍と「ホーム」という場所――カフカ「巣穴」を読む
あとがき
著者:佐幸信介
出版社:青弓社
サイズ:四六
ページ数:248
発行年:2021.09