空間管理社会 監視と自由のパラドックス
現代社会に暮らす人々は、今ではごく当たり前に「自由」を享受している。しかし一見すると自由に感じられる場は、実は巧妙に、しかし確実に制限されてはいないだろうか。監視カメラ・プライバシー・遊歩者・コレクティブハウス・メンタルマップ・反日デモ・ネットワーク型社会運動・・。公共空間、居住空間、メディア空間のそれぞれにおいて、現在どのような空間管理が進んでいるのか。これを問題意識の出発点として、各テーマ毎に専門家が議論・分析し、具体的な事例を交えながら、あらためて社会的空間における「自由」とは何かを問う。
■目次
・プロローグ-社会的な空間の現在
・パート1 都市の自由とまなざし
1章 公共空間の快適-規律から管理へ/阿部潔
快適な空間が呼び起こす「微な違和感」
監視社会の現在
監視と「自由」の関係変化
「自由な空間」と「空間の自由」
テーマパーク化する社会と「自由」の危機
2章 ストリートの快楽と権力-消費社会のスペクタクル/成実弘至
スペクタクル化する都市
ストリート・カルチャー
少女と都市
まなざしと身体のポリティクス
「見せる」と「見返す」
キーワード I
・パート2 住まいのポリティクス
3章 囲われる空間のパラドックス-分類化する社会/佐幸信介
生活を囲い込むこと
集住空間のセキュリティ
測定される安全/危険
象徴暴力とコミュニティ
逆説的な安全の空間
4章 デザインされる空間-視線と集合住宅/小野田泰明
公共空間における視線
モデルプランとその一般化
ダイヤグラムの作動
自己生成する都市
空間はどのように設計されるか
ダイヤグラムの深化と空間的実践
キーワード II
・パート3 メディアの自由と不自由
5章 ネット空間と自由の可能性-繋がりの構造/前田至剛
不自由な空間におけるネット
感情の充填されるネット
ネット空間とは何か
空間の自由
6章 空間と表象の暴力-自閉する私的空間/田仲康博
不安の構図
漂流する私的空間
監視装置としてのメディア
排除される記憶
分断/支配に抗して
キーワード III
・エピローグ-「自由」に向けて
著者:阿部潔、成実弘至
出版社:新曜社
サイズ:四六
ページ数:269
発行年:2006.09
