
現代思想 2019年07月号 考現学とはなにか
モノへのまなざしが描き出す「暮らし」の思想
道行くひとの靴や軒先のランプ、ハリガミからカケ茶碗まで……さまざまな「モノ」へのまなざしを通じて私たちの日常生活のかたちを描き出す、考現学という営み。今和次郎にはじまり現在へといたる多様な実践の系譜から、その尽きせぬ深さとひろがりをさぐり、アクチュアルな思想としての可能性を浮き彫りにする。
■特集
考現学とはなにか 今和次郎から路上観察学、そして「暮らし」の時代
・討議 あたかも数千年後のまなざしで 考現学と「モノ」への問い
藤森照信+中谷礼仁
・考現学を画定する
スケッチが拓く「いま」の博物学 考現学の理論とその継承 黒石いずみ
考現学の本願と方法的規準について 佐藤健二
考現学、その方法的連鎖をめぐる断章 破門、生態学、小鳥居 菊地暁
思考ツールとしての考現学 石川初
・五感がとらえる「現」のかたち
おれの「食の考現学」 遠藤哲夫
架空の通学路について panpanya
音の採集 「オーディオユニオン録音コンテスト」から見る一九七〇年代日本の音響技術文化 金子智太郎
・モノへのまなざしに潜むもの
仮設住宅団地の考現学 ならびに死者がモノと言葉に残す痕跡について 廣田龍平
アーカイブ的統治とフェティシズムから考える考現学 田中雅一
考現学と帝国主義 今和次郎の視線について 逆井聡人
・KULTURO DE MODERNOLOGIO
・トマソンの類型学 ポピュラー文化のなかの超芸術 佐藤守弘
・メディアのなかの考現学 アカデミズムとジャーナリズム、エンターテインメントの狭間で 飯田豊
・「生活」を思考すること
「日常」を写すことの条件 阿部純
今和次郎の家政思想における「詩人」とは誰か 野崎有以
「多様性」からの批判精神 今和次郎の都市観察に関する考察 小野寺研太
生活へのまなざし 考現学と民藝とその周辺 鞍田崇
・考現学の浸透と越境
二つのデザイン・サーヴェイ 考現学以後の建築とプロダクト・デザイン 加島卓
大衆の観察/大衆による観察 一九三〇年代イギリスの考現学的実践 祐成保志
著者:
出版社:青土社
サイズ:A5変
ページ数:230
発行年:2019.07