表象の多面体
メランコリーに彩られた現代。錯綜する現代が多面体なのか。虚無の未来を感知する特異の想像力が多面的なのか。その際立った美意識・思想によって熱烈な支持を得る美術家、カメラマン、建築家たちは、臨界点にある今日の欲望とメランコリーの気分とが充満する世界を、如何に表象したのか。二〇世紀芸術の核心に迫る。
■目次
・はじめに
・キーファーの七つの塔 「天の王宮」
ビコッカの塔/コンクリート/キーファーの思想的経歴/ラ・トゥーレットの影響/砂からコンクリートへ/象徴としての物質/カバラと廃墟/塔を作る/未来の廃墟
・マリオ・ジャコメッリの詩的世界
母なるセニガリア/二つの世界/詩的表現をもとめて/イタリアの小さな町 『スカンノ』 と記憶/『私には自分の顔を愛撫する手がない』 法衣の下の青春/生への願望、死への願望 老人ホスピスとルルド/大地あるいは風景/自分の死
・アヴェドンの肖像 ニューヨークのスノビスム
顔の写真/昔、奴隷であった男/殺人者の顔/人間の顔の発見/ノトの少年/コメディとしての歴史/プライヴェト・パンテオン/パンテオン・ナダールとのちがい/年長の芸術家たち/かつて力のあった人びと/ボルヘス、ベケット、ベーコン/同時代人たち/他者のなかへ/死にいく人間/父の写真
・波を上手く捉えるサーファー レム・コールハースの疾走
マンハッタニズム/ビッグネス/波を捉えるサーファー/レム・スタイル
著者:多木浩二
出版社:青土社
サイズ:A5
ページ数:150
発行年:2009.02
