陰影論 デザインの背後について
速度と効率最優先の資本主義とデザインが、自然と環境を廃墟へと導く。
運動/静止、強さ/弱さ、表層/深層と、見失われた微妙な空間に潜む[陰影]の豊かなダイナミズムを、デザインは捕捉・蘇生し、新たな社会を構築できるか。
■目次
オオウバユリの時間
1.弱さを聴く
複製、増殖について/冬の林を歩く
植物の[経済]と生活/段ボールの棺
2.表面積の哲学
循環する[表面]が守るもの/都市の[成分]
表面積が作る、人の街/そして、細部への通路
影から[物体]へ/再び表面の力
3.擦過傷
空の傷、ふと現れる事件/陰影が生まれる時
経済、代謝/ボイスの呼吸
4.半諧調(ハーフトーン)を知る
背景が始まる/環境の前面
陰影の威力/音に触れ、紙を聴く
ハーフトーンの知/ディスプレイと紙
5.影の運動
デザインの[記録]と[運動]
6.明るい街
描かれる光/仮想都市
陰影のエコロジー/光の観察者
標準・・・・・・の集落
7.消える形
異色の日常空間/[識別]のハザードとは
色と形、それぞれの・・/[標準]へ
8.触れる
質感、妙なハヤリ/[見せる]の誕生
[触れる]ゼロの隙間
9.Nowhere
記憶の街/どこでもない・・ここ
非・場所?/海の住所
ガラスの街/真空のメディア
10.宗達から光琳へ
光の場所/意匠への風穴
風神雷神と光琳/芦野公昭談話「宗達の画業」
11.山水の時間
水墨画 色彩の排除から/時間の絵画
12.諧調論
陰影・・記憶の通路/風景の境界
陰影の棲み家/細部へ
何ものでもない印/[自立する点]たち
メディアへ 二十世紀の点描/ターナーの近代
デザインへ
13.眼の震え
殺戮の経済学/虫の日
背景へ/「循環」について
著者:戸田ツトム
出版社:青土社
サイズ:四六
ページ数:253
発行年:2012.02
