
ナチスの北欧幻想 知られざるもう一つの第三帝国都市
1934年4月12日、ヒトラーはノルウェーのフィヨルドを視察に訪れました。その時、彼の眼には、自らのユートピア都市が重なって見えていたのかもしれません。
ナチスにとって、ノルウェー人はそのナチス的世界観の人種ヒエラルキーの頂点にある存在だった。そのため、ナチスはノルウェーをほかの占領地のように一方的に蹂躙するのではなく、「同胞」として自ら第三帝国の一員となるように仕向けるという、異例の対応が行われていた。さらには、ヒトラーはこの地を「もう一つの第三帝国の重要都市に改造する」という野望を抱き、そのための建築・都市計画の構想を計画していた。本書では、その計画を図面等の資料を詳細に読み解き分析する。
■目次
1 北欧を美化する過程:ナチス占領下のノルウェーに関するドイツの報道記録
2 新秩序のノルウェー
:スーパーハイウェイ(高速道路)からスーパーベビー(優等人種の子供たち)までのインフラ構築
3 ドイツ人気質の島々:占領下のノルウェーにおける兵士の家
4 ノルウェーの町のナチ化:戦時下の都市生活と環境の形成
5 フィヨルドに築くゲルマン都市:ヒトラーのニュー・トロンハイム計画
著者:デスピナ・ストラティガコス、川岸史
出版社:草思社
サイズ:四六
ページ数:408
発行年:2023.02