
増補版 戦争と建築
この不穏な時代、建築と都市はどこへ向かうのか。そもそも、これらは戦争といかにかかわってきたのだろう。建築は常に戦争に巻き込まれてきた。ならば、破壊と再生・防御の歴史を見つめ直すことは、建築のまだ見ぬ可能性につながるはずだ。
ルネサンス要塞建築のデザイン。知恵を絞った第二次世界大戦下の建物偽装例。震災と空襲をへた東京の変貌。戦争による技術革新と、B・フラーやイームズ夫妻の関係。街頭の監視カメラと防犯事情に、オウム施設と朝鮮半島非武装地帯。そして、NYグランド・ゼロの開発・・。
2003年に刊行され大きな話題を呼んだ1冊に、ウクライナ侵攻と9・11の受容についての新たな書き下ろし2篇を加えた増補版。
■目次
一章 戦時下の都市
前線都市、防空都市
二章 戦争とデザイン
直線か、曲線か 伊東忠太と岸田日出刀を中心に
空からのまなざし 視覚的無意識としての近代都市
技術の母としての戦争 フラーとイームズ
三章 日常におけるサバイバル
サバイバルのための東京リサイクル
反フラット建築論に抗して
再発見されたエレクトリック・ラビリンス
四章 テロリズムと恐怖の空間
セキュリティ戦争の都市
9・11がもたらしたもの ミノル・ヤマサキの嘆き
忘却しないために リベスキンドと希望の建築
増補
9/11メモリアル・ミュージアム 圧倒的な不在と膨大な情報を見る
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、建築に何が可能か
アンバランスな時代の二一世紀型戦争
増補版あとがき 恐怖にとりつかれた都市
著者:五十嵐太郎
出版社:晶文社
サイズ:A5
ページ数:280
発行年:2022.07