
ドナルド・ジャッド 風景とミニマリズム
「ミニマリズム」という用語がさまざまな領域に浸透している現在、はたして美術における「ミニマリズム」とは何であったのか?
現代アートを代表する美術家、ドナルド・ジャッド(1928-94)の絵画、オブジェクト作品、リノベーション建築から家具制作に至るキャリアを中心に、作品構造と形態の変化を克明に辿りながら、いかにしてミニマリズムの芸術が人工的な風景や工学的構造などに触発されてきたかを追求する。
■目次
・序章 スペシフィック・オブジェクツから非芸術作品へ
スペシフィック・オブジェクツ
ミニマリズムと美術
ミニマリズムと遠近法
先行研究
本書の構成
・第1部 抽象的風景とミニマリズム
第1章 あらかじめ抽象化されたものたち
高速道路の体験/建築と忘却/スケール
ドナルド・ジャッドの風景と地図/芸術と非芸術
第2章 構造の芸術
泡の膜と多角形/四面体のスペースフレーム/プロポーションの抽出
絵画とパイプ/プロジェクション、プログレッション、スタックの起動
・第2部 系列的方法としてのミニマリズム
第3章 ジャッドの共鳴体
工業的主体性/イリュージョン
主体と客体/交代調和級数
第4章 次元変換の複合体
シークエンス写真/転回可能性/系列的態勢
線遠近法と射影幾何学/リグレッション/遠近法と地図
・第3部 土地におけるミニマリズム
第5章 再帰的風景
ミニマリズム、実家に帰る/カンザスシティと芸術/プレハブ住宅と芸術
ミニマリズム的見方/スミッソンとノンサイト/廃棄物コンテナ
第6章 不純さの度合い
引越しをする/既存のコンテクストを利用する
作品を設置する/CW1-15の構造分析
終章 ジャッドのストレートチェア
ストレートデザインの椅子/家具、建築と美術/椅子になること
・主要参考文献
・図版一覧
・あとがき
著者:荒川徹
出版社:水声社
サイズ:A5
ページ数:240
発行年:2019.08