パラーディオの時代のヴェネツィア
「アドリア海の女王」と盛名を煌かせたヴェネツィア。栄光に落日が兆した16世紀、パラーディオを初めとして、壮麗な建築の宝石をこの女王に捧げ、時代を超える都市の美学を構築した人々がいた-。
本書は、16世紀のヴェネツィアにおける都市景観の完成過程と、その過程に貢献した建築家たちの活動について、歴史上もっとも大きな影響力を後世に及ぼしたとされる建築家アンドレア・パラーディオを中心に据え、かつ同時代の建築家たちのそれぞれの個性的な活動を通しヴェネツィアにおける都市形成史において16世紀が最も重要な時代であったことを詳細に論証した、未来への示唆の書。
■目次
・序章 ヴェネツィア共和国の16世紀
・第1章 「リアルト橋」をめぐって
「リアルト橋」略史/パラーディオの「リアルト橋」計画案
パラーディオとその他の橋/実現された「リアルト橋」/時空を超える橋
・第2章 パラーディオと共和国の三つの都市
テッラ・フェルマの二つの都市/「建築家パラーディオ」の誕生
街路の装置としてのポルティコ/「都市の装飾」としての建築
ヴィチェンツァの特異性/ヴェネツィアへの関心
・第3章 十六世紀ヴェネツィアにおける「都市改装」
時代背景/都市整備の過程/海洋都市国家の特性
・第4章 パラーディオのヴェネツィア進出
ヴェネツィアのパラッツォ/宗教建築への導入
カリタ修道院/
・第5章 ヴェネツィアにおけるパラーディオの主要三作品
サン・フランチェスコ・デッラ・ヴィーニャ/サン・ジョルジョ・マッジョーレ
イル・レデンドーレ
・第6章 ヴェネツィアにおけるパラーディオのその他の仕事
二つの小教会/その他の活動/書物の出版
・終章 ヴェネツィア共和国の建築家たち
本書に登場した建築家たち/パラーディオのヴェネツィアにおける役割
出版物の効果/誇り高きヴェネツィア
・付録
パオロ・グアルドによるパラーディオ伝(翻訳)
著者:渡辺真弓
出版社:中央公論美術出版
サイズ:A5
ページ数:372
発行年:2009.12
