沢田マンション超一級資料　世界最強のセルフビルド建築探訪

高知にある、あの名物物件を、建築学的に再評価した。夫婦二人でつくった沢田マンションとは高知県にあるオーナー夫婦ふたりで自作した地下1階、地上6階建ての賃貸集合住宅。現在もオーナー家族の手により増築中。世界最大のセルフビルド建築としても知られる。

恐るべきDIY精神と自給自足。どの階にいても「地上にいるのと同じ感覚」で生活できる空間造形、5階まで車で行けるスロープ、屋上緑化、庭園と池を完備。生活の創意工夫をユニークに実現し、畑断熱、有機物の循環なども、独自の発想と合理性で成し遂げてしまった。また、間取りがすべて異なる住戸配置、バルコニー兼用の広い通路など、経済原理の下では実現できなかったアイデアの見本市。これからの集合住宅を考えるヒントも満載。建築界においては評価されず、一般には好奇の目でしか見られてこなかった「沢田マンション」を、新しい生活空間として解き明かす。

■目次

・調査の背景と目的～まえがきに代えて

・1　沢田マンションという建築物

沢田マンションのココがすごい／沢田嘉納さんって何者？

・2　沢田マンションの歩き方

沢マンを読み解く13のキーワード／構築のシンボル沢マン柱ガイド／世界に繋がる角出し建築／スロープ的発想／日本集合住宅史の三大軍艦／緑化マンション／大地と一体化した自給自足／柔らかなテクスチャー／菅が媒介する多様なイメージ／考古学的視点で楽しむ改造の地層／地下空間と建物の成り立ち／沢田式工法を探る／知られざる『沢田建築』／沢田マンションのエチュード

・3　沢田マンションに暮らす人々と生活

沢マンEXPO開催！／受け継がれる沢マン文化／あふれ出す洗濯物は沢マンのガードマン？／新しいコミュニティと集合住宅／住宅地図の巻末付録から探る歴史／引っ越しと改装のハーモニー

・4　沢田マンション図集集成

立面図／平面図／沢田マンションの間取りいろいろ

・あとがき