イギリス自然葬地とランドスケープ 場所性の創出とデザイン
「場所」とは単なる空間ではなく、人々が主体的に関わることで特別な意味をもつ空間である。本書では、英国の自然葬地の事例から、個人的な追悼の空間が地域景観として受容される過程を分析、そして日本でも広がりつつある自然葬が、ランドスケープの観点からいかに方向づけできるのかを考察する。
■目次
・第1章 なぜ自然葬地について考えるのか
自然葬地を訪れる/個人的で公共的な景観/「場所」のデザイン/墓地形式の多様化
・第2章 イギリス自然葬地の成り立ちとその展開
1 自然葬地の発生・発展プロセス
DIY埋葬/民営自然葬地の発生/イギリス墓地小史/公営墓地の抱える問題/生物生息地としての墓地/公営自然葬地の発生/推進団体の発足/自然葬地の発生・発展プロセス
2 自然葬地の制度的枠組みの発生・発展プロセス
民間団体による基準づくり/政府の対応/制度的枠組みの発生・発展プロセス
・第3章 自然葬地の景観と公共性
1 行政から見た自然葬地の景観価値
計画委員会報告書/事例の概要/論点の比較/景観操作としてのランドスケープ・デザイン
2 自然葬地景観の地域的価値
事例の概要/事例間の比較/項目間の比較/個人的価値と公共的価値の相補性
・第4章 自然葬地景観の個人性と公共性
1 景観の枠組の模式図化
プレイス・メモリー/対象事例/模式図化の方法/自然葬地の景観の枠組
2 景観の個人的枠組と公共的枠組
景観の枠組の個と公/景観の枠組と時間変化/建築的手法による景観への意味付け
・第5章 日本における自然葬地の可能性
個人のための緑地計画論の端緒として/「なぜ」を問うこと/四つの評価基準/調査と分析/計画タイプごとの評価/モデルの解釈
・第6章 自然葬地のランドスケープとその意味
自然葬地のランドスケープ/個人と公共のための空間-場所再生の起点として
・あとがき
著者:武田史朗
出版社:昭和堂
サイズ:A5
ページ数:220
発行年:2008.07
