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分離派建築会 日本のモダニズム建築誕生

セール価格 4,840円(税込)

「我々は起つ。/過去建築圏より分離し、総ての建築をして真に意義あらしめる新建築圏を創造せんがために」

東京帝国大学工学部建築学科を卒業した若き建築家6人は、1920年、過去の建築との決別を宣言し、「分離派建築会」を結成した。20世紀初頭の芸術運動の流れを汲み、本邦初の近代建築運動として知られる分離派建築会が追い求めた芸術と建築の融合。自由な芸術を求めたその行跡を辿り、彼らがふたたび様式に美を見出すまでの過程を、32の論考であらゆる角度から描き出す。

■目次

・はじめに 田路貴浩

Ⅰ Secessionから分離派建築会へ

 ・分離派の誕生 ミュンヘン、ベルリンそしてウィーン 池田祐子

 ・オットー・ヴァーグナーの時代の建築芸術

  被覆とラウム、そして、生活へ 河田智成

 ・分離派と日本 分光と鏡像 雑誌『青鞜』創刊号表紙絵をきっかけに 水沢勉

 ・青島とドイツ表現主義 長谷川 章

II 結成、または建築「創作」の誕生

 ・分離派建築会と建築「創作」の誕生 田路貴浩

 ・一九一〇年前後の美術における「創作」意識 南明日香

 ・分離派建築会の「建築・芸術の思想」とその思想史的背景

  和辻哲郎との照応関係から 飯嶋裕治

 ・分離派への道程 世代間の制作理念からの再考 足立裕司

III 「構造」対「意匠」?

 ・日本における初期鉄筋コンクリート建築の諸問題 堀勇良

 ・分離派登場の背景としての東京帝国大学 加藤耕一

 ・東京帝国大学における建築教育の再読

  学生時代における建築受容の様相 角田真弓

 ・「構造」と「意匠」および建築家の職能の分離 宮谷慶一

IV 大衆消費社会のなかでの「創作」

 ・ゼツェッシオン(分離派)の導入 河東義之

 ・博覧会における建築様式 分離派建築会の前後 天内大樹

 ・「文化住宅」にみる住宅デザインの多様性の意味 内田青蔵

 ・大大阪モダニズムと分離派 街に浸透する美意識 橋爪節也

V 建築における「田園的なもの」

 ・「田園」をめぐる思想の見取り図 杉山真魚

 ・瀧澤眞弓と中世主義 「日本農民美術研究所」の設計を通して 菊地潤

 ・堀口捨己の田園へのまなざし 田路貴浩

 ・堀口捨己と民藝 常滑陶芸研究所と民藝館を糸口に 鞍田崇

VI 彫刻へのまなざし

 ・大正~昭和前期の彫刻家にとっての建築 田中修二

  ・「リズム」から構想された建築造形 天内大樹

 ・山田守の創作法

  東京中央電信局および聖橋の放物線の出現とその意味 大宮司勝弘

 ・石本喜久治の渡欧と創作 あるいは二〇世紀芸術と建築の接近 菊地潤

VII 「構成」への転回

 ・創作活動の展開蔵田周忠

 ・分離派建築会から型而工房へ 岡山理香

 ・創造・構成・実践 山口文象と創宇社建築会の意識について 佐藤美弥

  ・「新しき社会技術」の獲得へ向けて

  山口文象の渡独とその背景をめぐって 田所辰之助

 ・表現から構成へ 川喜田煉七郎におけるリアリティの行方 梅宮弘光

VIII 散開、そして「様式」再考

 ・古典建築の探究から様式の超克へ

  森田慶一のウィトルウィウス論をとおして 市川秀和

 ・オットー・ワグナー十年祭と岸田日出刀の様式再考

  「歴史的構造派」という視座をめぐって 勝原基貴

 ・堀口捨己による様式への問いと茶室への遡行 近藤康子

 ・自由無礙なる様式の発見 板垣鷹穂・堀口捨己・西川一草亭 本橋仁

・おわりに

 分離派建築会以後 「創作主体」の行方 田所辰之助

・あとがき

著者:田路貴浩

出版社:京都大学学術出版会

サイズ:A5

ページ数:590

発行年:2020.10