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家のイングランド 変貌する社会と建築物の詩学

セール価格 5,940円(税込)

建築物に積み重なる経験と記憶に寄り添うとき、そこには何が見えてくるのか。カントリー・ハウスや田舎家コテッジ、郊外住宅から、都市の闇としてのスラムまで、テクストが描きだす多様な建築表象を歴史的・社会的文脈の中で読み解き、「イングリッシュな家」の神話を問い直す画期的な建築文学論。

■目次

・序章 イングリッシュな家のハビトゥス

イングリッシュな家と文学

歴史と建築と文学

本書の骨組スケルトン

・第1章 闇の奥の家

      スラムをめぐるまなざしと表象

ディストピアの言説

スラムと中流階級の家の対比

チャリティを通して見つめた都市の最暗部

「退化」と「恐怖」でつながるスラムと上品な邸宅

覗き見趣味の巡礼

・第2章 スラムに聳えるネオ・ゴシック建築

       夢に終わった中世の理想

封建主義の復権

田園主義の具現

ピクチャレスクな過去と現在

「自由」と「秩序」と「雅量」と

  ラスキンがゴシック建築に見出したもの

モダンな中世主義 ウィリアム・モリスの『ユートピアだより』

スラムの跡地のネオ・ゴシック住宅

・第3章 「混濁」した郊外と家

       不可解な空間

ユートピアの幻影 解釈できない空間

「ピクチャレスク」の変質

「没場所」としての郊外を読み直す

郊外を流離う夏目金之助

帝国内の異空間とマイホーム主義

・第4章 イングリッシュな農家屋

      遺産の継承と社会

「イングリッシュな農家屋」というハビトゥス

流転する都市の景観

田園への回帰

田園都市の誕生

「イングリッシュな家」の創造

「つなぎとめる」建築物

帝国の陰影

・第5章 「空っぽの貝殻」

      消えゆくカントリー・ハウスの幻影

消えたカントリー・ハウス

戦間期の不安 —— ダロウェイ夫人が感じる闇

空虚な屋敷の原型

回想のなかのカントリー・ハウス デュ・モーリアの『レベッカ』

かつて僕はそこにいた 記憶のなかのブライズヘッド

空洞化する「威厳」 カズオ・イシグロの『日の名残り』

カントリー・ハウスの現在と未来

・第6章 建築物の詩学

  ジョン・ベッチャマンと歴史的建築物

奇矯なる国民詩人

裏街道を迷走する

建築物の詩学

新生ゴシック建築

盟友ジョン・パイパー

ベッチャマンの教会賛美

鉄道マニアとしてのベッチャマン

ベッドフォード・パークの戦い

伝統の再編成

・想い出の家 あとがきにかえて

著者:大石和欣

出版社:名古屋大学出版会

サイズ:A5

ページ数:418

発行年:2019.08