スラムの計画学 カンボジアの都市建築フィールドノート
瀟洒なコロニアル・スタイルの建築と土着の伝統家屋が交じり合い、独特の景観が存在していたカンボジアの主要都市。しかし、ポル・ポト時代の混乱で美しい町並みは荒廃し、現在はスラムと野放図な増築が目立つ。
スラムは排除すべきものなのか?むしろエネルギーあふれる発展の過程と見るほうが適切なのではないか。2007~2012年にプノンペン、バッタンバンの都市建築を徹底的に調査した近畿大学のチームは、スラムの生活環境と人との関わりには学ぶべき点が多いという確信を得る。本書はその克明なフィールドノートをまとめた労作である。
■目次
・第1章 近代都市遺産の継承
1.近代都市計画の遺産
都市形成史と都市構成/植民都市としてのプノンペン ほか
2.都市施設の土着性
プノンペンの商業施設/プサー・チャー ほか
・第2章 都市住居と街区居住
1.都市住居と街区構成
プノンペンの都市住居/ショップハウスの空間構成 ほか
2.外部空間利用
外部空間の空間利用/歩道の空間利用 路地の空間利用
路地の空間利用/活発な外部空間利用にむけて
3.ショップハウスの空間更新
変わり続ける都市住居/事例に見るショップハウスの空間更新
ショップハウスでの空間更新の特性 ほか
4.都市住居と都市景観
プノンペンの街並み特性/ショップハウスのファサード構成
ショップハウスの街並み景観/街路景観の継承
・第3章 土着的な住居と集落
1.農村集落
農村集落/ロヴェア村の住居・集落構成
外部空間利用/住居と儀礼/農村集落の空間特性
2.トンレサップ湖の水上集落
アンロン・タ・ウー村/アンロン・タ・ウー村の住居形式
水上住居の空間特性/住居群の空間利用/水上集落の空間構成
3.高床式住居の都市化
プノンペンの高床式住居/高床式住居の空間構成と利用実態
高床式住居の共用空間/高床式住居から都市住居へ
・第4章 居住環境改善
1.不法占拠地区の居住空間構成
プノンペンの最大のスラム ボレイケラ地区
住居の空間構成/外部空間の構成
外部空間の利用/不法占拠地区の生活空間
2.居住環境改善事業
ボレイケラ地区改善事業
住民による環境移行評価
再定住の空間計画
・終章 スラムの計画学に向けて
王立芸術大学とのワークショップ
計画を考える
著者:脇田祥尚
出版社:めこん
サイズ:A5
ページ数:304
発行年:2013.02
