
22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ 天命反転する経験と身体
「死なないために」とはどういうことなのか?
死すべき存在である人間の運命に戦いを仕掛けた
荒川+ギンズの思考に迫る、22世紀の身体論。
荒川修作没後10年、今なお刺激に満ちた現在進行形の彼らの思想を再発見していく画期的論集。
「人間は死なない」──死と生命をめぐる独自の発想と思考から、数多くの鮮烈な言葉を残した荒川修作+マドリン・ギンズ。「三鷹天命反転住宅」や「養老天命反転地」をはじめとする彼らの作り上げた様々な空間は私たちの五感や認識のあり方に大きく揺さぶりをかける。
不確かな時代であるがゆえの、身体への意識と関心の高まりにおいて、荒川+ギンズの思想は多くの発見や刺激を私たちに与えている。
死すべき存在でありながら、生命を消滅させないという矛盾を荒川+ギンズはどのように乗り越えようとしたのか。
人間の運命に戦いを仕掛け、運命を根底から覆す「天命反転」を企てた、今なお/今こそ現在進行形というべき荒川+ギンズの思想と実践を、身体論を軸として、哲学、建築、美術、心理学、教育学などさまざまな専門分野から再検討する。それとともに荒川+ギンズ関連の展覧会、パフォーマンスなどの近年のプロジェクトを包括的に紹介する。
■目次
・天命反転する場所
「テキスト」黄色い球体、ご機嫌いかが? 荒川+ギンズとともに天命反転するレンスケ・マリア・ファン・ダム
・荒川修作、マドリン・ギンズ 追悼文 磯崎新
荒川修作 無明の境地をさまよった人
マドリン・ギンズ コトバにならないコトバの交信
■第1部 天命反転住宅の経験
・ブランキーまたはチェ・ゲバラ ARAKAWA + GINSに寄り添って本間桃世
・天命反転+マインドフルネス! 荒川+ギンズの天命反転思想を体験から読み解く小室弘毅
・
座談会
天命反転座談会 三鷹の住民が志段味を訪れる
構成=門林岳史
■三鷹天命反転住宅の(元)住民から
・天命反転住宅の子 森田真生
・反転住宅を受けとめること 山岡信貴
・OTP被検体 No.006A号に関する居住実験記録 中間報告書概要版) 辻真悟
・センターカラー
ARAKAWA+GINSの書棚
「テキスト」Rrrrreading ハウストン通西124番の本棚 ST・ルック
■第2部 22世紀の身体論
・仮説としての荒川+ギンズ 『建築する身体』の切り閉じ 三村尚彦
・「臨床的手続き」としての建築とその使用法 ジェンドリンと荒川+ギンズ 岡村心平
・ヘレン・ケラー経験はアラカワ作品をどう見せるか ウィリアム・ジェイムズから示唆を得る 染谷昌義
・荒川+ギンズ「が」「死なないために」 村川治彦
・ARAKAWA+GINS「から/に向けて」の「社会/技術」批判 稲垣諭
■第3部 オンゴーイング・荒川+ギンズ
・メイキング・オブ・アラカワ展 at Gagosian NY
アマラ・マグローリン+手塚美和子
・「荒川修作+マドリン・ギンズ——永遠の傾き」展
「問われているプロセス/天命反転の橋」
一九八七-八九 アイリーン・ソヌ
・都市計画の模型 受容論としての「養老天命反転AR]
伊村靖子・松井茂
・小特集 ネオン・ダンス「パズル・クリーチャー」
ディレクターの言葉 エイドリアン・ハート
鑑賞者の経験 門林岳史
ダンサーの経験 木田真理子
・DOVER STREET MARKET NEW YORKと私と荒川修作+マドリン・ギンズ 小石祐介
・資料紹介 マドリン・ギンズ遺稿『ALIVE FOREVER NOT IF BUT WHEN』 門林岳史
・巻末資料
編著者略歴/執筆者・訳者略歴
荒川修作+マドリン・ギンズ関連主要日本語文献一覧
(作成゠松田剛佳、門林岳史)
著者:三村尚彦、門林岳史
出版社:フィルムアート社
サイズ:A5
ページ数:319
発行年:2019.12