人はなぜ建てるのか
聖学院大学礼拝堂・講堂で、今年度の日本芸術院章を受賞した著者、香山壽夫。「建築家の情熱と使命とは何か」を思い描き、「かたちが生まれる根源」を凝視し続けるその姿勢には、建築こそ、社会のなかで人と人を結び付ける重要な枠組みなのだという強い確信と深い喜びがある。実践をもとに考え抜かれた文章が、旅のスケッチや写真も取り交ぜながら、発見に満ちた多くの問いを投げかける。
■目次
・かたちといのち 人は何によって建てるのか
・I 建築家の仕事を問い直す
情熱と使命 建築家の仕事とは何か/建築の内に父はいたのか/吉村順三 近代日本が生んだ独自の古典主義者/吉武泰水の高貴と憂鬱/細部に宿るものは、神か、悪霊か
・II 人を育てる空間
学校建築をつくる喜び/中学生にとって建築とは何なのか/大学の空間について 作ることと教えること/地形の再生による都市の大学広場 ニ松学舎大学九段キャンパス/木立の中に木で建てる 東京大学弥生講堂/卒業設計で何を学ぶか/三五年ぶりのペンシルバニア大学/学年度を秋に始め、初夏に終えよう
・III 共同体の空間
宗教建築と公共性/公共建築は死なず、生まれ変わる
・IV 風景を旅する
・V 持続する建築と都市
変革を追い求めた百年で得たのは何だったのか/観念から身体的言説へ/再生は創造である/安田講堂の再生/横浜税関本関の再生/景観論はデザイン論たり得るか
・VI 森に還ろう
森林と建築、そして森林と市へ/私達に本当に必要なものは少ししかない/夕陽を眺める時間が欲しい/雲と空/小さな町、私の町/私の継続学習
著者:香山壽夫
出版社:王国社
サイズ:四六
ページ数:220
発行年:2007.01
