原っぱと遊園地 2 見えの行き来から生まれるリアリティ
「原っぱと遊園地」の第二弾。そこを人が使うことでその使い方を発見できる「原っぱ」的な空間に、「見えの行き来」というルールをオーバードライブさせ、青森県立美術館は実現した。そこには、その場その場では確かな存在が感じられながら、その存在感が絶対ではなくすぐに裏切られてしまう宙吊りの感覚が生まれている。同時に三内丸山遺跡に隣接するこの場所固有の「土を掘ってつくった空間」に、異種のジャンルが出会う「街」の仕掛けも演出した。本書ではそうした多様な試みを西沢立衛との対談も含め、設計の思索の軌跡を追いながら、それに日本の建築家論、日本の建築空間論等も交え、立体的に青木淳の現在を明らかにする。写真・自筆スケッチ多数。
■目次
・建築家の書を捨てよ、町へ出よう
・I 原っぱみたいな美術館
原っぱの家/「青森らしい美術館」への回答(聞き手 渡辺真理・木下庸子)/図式の崩壊から/図式とルール 青森県立美術館をめぐって(西沢立衛・青木淳)/個別解としてのディテール/図式、感覚を含む心的な表象/写真に撮りにくい建築になってしまうのは
・II 橋は道の一部
「絶対装飾」について/既存と新規をつなぐリノベーション/実態の裏付けられることのないリアリティ/リテラルなボリューム/スケールの分布/白く塗れ/つくるときの主題(花田佳明・青木淳)
・III どこでもない場所の浮遊感
人との距離の感覚/もうひとつの「デザイン」のあり方/妹島和世のフレキシビリティ/現在という時間だけがあるということ/ヴォリュームについて/起きそうもないことが当たり前のように起こること/そのすぐ裏にある空間/私の立つ場所
・私を変えた本
・あとがき
著者:青木淳
出版社:王国社
サイズ:四六
ページ数:240
発行年:2008.04
