がらんどう
出世作アンパンマンミュージアムから、2007年日本建築学会賞作品賞の茅野市民館まで、また住宅では処女作狐ヶ城の家から自邸ジグハウス・ザグハウスまで、一貫して大らかな空間の使い方と全体に漂う居心地よさにこだわり続けて来た気鋭の建築による初の論集。創造的修復という視点から展開したカルロ・スカルパ論も加え、20年におよぶ自作の軌跡と思考の過程を写真を交えて丹念に追う。
■目次
・ぼくはこうして建築家になった(聞き手・国広ジョージ)
1
・市民社会と建築家
なぜ市民との緊密な共同作業が必要か
・茅野市民館の公開プロポーザルと設計(藤森照信・古谷誠章)
・ひな型のない建築をつくること
完成前のリノベーション、神流町中里合同庁舎
・フレキシブルな空間をめざして
近藤内科病院の新たな試み
・近藤内科病院をつくる
2
・風景の中に人を迎え入れる
「天草ビジターセンター」+「展望休息所」
・人が人に会う場所
香北町立やなせたかし記念館「アンパンマンミュージアム」
・人が散歩するギャラリーへ
香北町立やなせたかし記念館「詩とメルヘン絵本館」
・可変性を備えた建築の計画
「早稲田大学大久保キャンパス新研究棟」
・建築に再び時間を流す
旧早稲田大学図書館改修「早稲田大学曾津八一記念博物館」
・建築の臨終と再生を考える
武基雄設計「長崎水族館」の保存をめぐって
・「ディテール」は建築全体の写し鏡
・カルロ・スカルパ
「空気」と「水平線」
・インテルヴェントとレスタウロ
3
・家・記憶をつなぐ庭
「ZIG HOUSE ZAG HOUSE」
・周辺環境と呼応しながら
・固定的なしつらいをしない
・家・生活の舞台
「狐ヶ城の家」
・空間の緩やかな更新
「ささき別荘」
・木立ち越しに万里の長城を望む
「水関の家」
・周囲の変化を受けとめながら建築をまとう
「UNABO」
・一日中日射しを取り込めるように
「谷間の日時計の家」
4
・ハイパー・スパイラル・プロジェクト
・賃貸される「空箱」考
「バウムハウス」
・都市空間を自由にレンタルするために
「イル・カセット」「高円寺南アパート」
・所有しすぎないことがコミュニティの形成を助ける
「代田の切通し」
・ カオス
・あとがき
著者:古谷誠章
出版社:王国社
サイズ:四六
ページ数:220
発行年:2009.05
