「落水荘」のすべて

一度は見ておきたいフランク・ロイド・ライトの最高傑作。

滝の流れる岩の上に「落水荘」を建てるという発想はどこから生まれたのか。「私はあなたに、滝と一緒に住んで欲しいと思ったのだ。ただ見るだけではなくて、あなたの生活の一部になるようにしたい」とライトは建主に思いを伝える。水平の重なりが強調された三層の片持バルコニーをもつ「落水荘」が1937年に発表されたとき、25年の沈黙の後だけに「ライト復活」が叫ばれ、これこそ国際様式の近代建築とまで言われた。岩を火床にした居間の暖炉、川面に降りる行先のない階段、外部に金箔を張るアイデア、構造のたわみを心配する深刻なやりとりなど、いま解き明かされる建築と建築家、そして建主一家の物語。