建築モダニズム講義
20世紀に入り鉄やガラス工法などの新技術によって、それまでの様式に縛られない自由な形や空間が「近代建築」として身を結んだ。本書では、その歩んだ道を丹念に辿り、豊富な実例写真を参照しながらドラマチックに解明する。「そこで何が行われたか」を常に想起することが、現代の建築の置かれた状況を考えるヒントになるはずである。
■目次
・第1講 近代建築の黎明
現代の建築への潮流を探る/ボザールの世界、ラブルーストからガルニエ
近代建築の曙、クリスタル・パレス
・第2講 工作物から建築へ
工作物の時代、エッフェル塔など/鉄骨の技術、コンクリートの技術
ペレのコンクリート打放し
・第3講 一九世紀末の建築運動
アーツ・アンド・クラフツからグラスゴー派へ
アール・ヌーボーの動向/カタロニアのモデルニスモ
・第4講 近代建築のための運動
ワグナーとセセッション/アドルフ・ロースの装飾は犯罪/ベーレンスとその周辺
・第5講 シカゴ派及びライトの影響
シカゴ派と万国博とライト/ライトの「作品集」、セセッションとの関わり
デ・ステイルの発生とライト/アムステルダム派とベルラーヘ
・第6講 ウエルクブンド
ウエルクブンドという名の運動/ミースのガラスと鉄のビル
シュツットガルトのワイゼンホフ住宅展/ドイツのジードルンク建設
・第7講 ル・コルビュジエの発信
ル・コルビュジエのエスプリ・ヌーボー/ドミノ・システムからシトロアンへ
近代建築は白い四角な箱/マンドロ夫人邸に始まる転換/CIAMの発足と展開
・第8講 バウハウスとグロピウス
グロピウスのワイマール・バウハウス/デッサウの新しいバウハウス
・第9講 トリビューン・コンペとアール・デコ
シカゴ・トリビューン社コンペ/アール・デコ博の成果
アール・デコ摩天楼のニューヨーク/「近代建築・国際展」という反撃
・第10講 アメリカとヨーロッパの交流
ノイトラ、ウィーンからアメリカへ/ヨーロッパからの亡命、相次ぐ
アメリカに発生した近代建築/アメリカ時代の到来と土木技術
・第11講 フランク・ロイド・ライトの復活
ライトの復活は「落水荘」から/ジョンソンワックス管理棟以降のライトの作品
・第12講 第二次世界大戦に向けて
テラーニによるファッショの家/ナチスの建築、ヒトラーの造形
シュペーアのネオ・クラシシズム
・第13講 戦後の復興、ル・コルビュジエの存在
大戦後の復興とベルリン/ル・コルビュジエの遺産/シャンティガールの都市建設
・第14講 ヨーロッパの建築の動向
北欧の近代建築家たち/アルバー・アールトの独自の世界
ポンピドー・センターの完成
・第15講 モダニズムの行方
アメリカ建築家の新世代/モダニズムが見落としたもの/ローテクとハイテクの時代
世界で交流する建築家たち/モダニズム建築を問い直す
著者:三沢浩
出版社:王国社
サイズ:四六
ページ数:183
発行年:2014.06
