
絵画の力学
芸術を経験することとは、振動する差異と諸力のただなかに巻き込まれることだ。芸術の思考=批評はそこから開始される。
アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、カール・アンドレ、ロバート・モリス、香月泰男、福沢一郎、辰野登恵子、高松次郎、ゴードン・マッタクラーク、ロザリンド・クラウス、クレメント・グリーンバーグ、イサム・ノグチ。「美術手帖」芸術評論募集第一席を受賞した著者による堂々たる初の単著。単行本書き下ろしとして、イサム・ノグチ論「火星から見られる彫刻」を収録する。美術批評の新たな達成。
■目次
序
I. 絵画の思考
第1章 ジャクソン・ポロック 隣接性の原理
第2章 福沢一郎と場
第3章 限界経験と絵画の拘束 香月泰男のシベリア
第4章 差異と関係
ジョセフ・アルバースとブラック・マウンテン・カレッジの思想
第5章 ニューマンのパラドクス
第6章 ウォーホルと時間
第7章 辰野登恵子 グリッド/斜行/アクソノメトリー
II. 事物経験の位相
第8章 繋辞なき反復 高松次郎の非‐命題
第9章 レイバー・ワーク カール・アンドレにおける制作の概念
第10章 都市の否定的なものたち ニューヨーク、東京、1972年
第11章 事物の退隠 ロバート・モリスの盲目性
第12章 火星から見られる彫刻
III. テクストの力学
第13章 自然という戦略 宗教的力としての民藝
第14章 ポスト=メディウム・コンディションとは何か?
第15章 形象が歪む アヴァンギャルドとキッチュ
著者:沢山遼
出版社:書肆侃侃房
サイズ:A5
ページ数:408
発行年:2020.10