石川初 ランドスケール・ブック 地上へのまなざし 現代建築家コンセプト・シリーズ 12
近年、東京という都市のなりたちを100万年の単位でとらえ、足下の地形への感覚を新鮮に甦らせる仕事が注目を集めている。また、その地形の上に立つ「団地」や「工場」「巨大ジャンクション」など、近代都市の営みを愛おしむまなざしが共感を呼んでいる。
これらは私たちに21世紀的な都市の見方、感じ方、楽しみ方を提示し、その上に建つ建築のあり様をも問いかける。
本書では、ランドスケープアーキテクト石川初(いしかわはじめ)のフィールドワークの視点を紹介。私たちが日常を過ごしている街、行ったことのある都市、知っている世界も視点やスケールを変えて見ると、そのたびに鮮やかに、異なる姿をして現われる。「地形」「地図」「時間」「境界」「庭」のキーワードをもとに、都市の新しい読み解き方や発見の方法を探る一冊。
■目次
・序 YOU ARE HERE 自分の位置をマッピングすること
・第一章 地形のスケール
等高線の彩色、地形を擦りだす地図/アナログなデジタル化ーコンピューター模型
平野の由来
モザイク地形ー地面の都市化/ニュータウンの丘陵/構造物の「地形認定」
地面の年輪 ほか
・第二章 地図のスケール
地図のルール、地面のルール/地下鉄の地図、インフォグラフィクス、皇居の表示
路線図がもたらす都市の地理感覚/鉄道と道路ーつり革の都市と実空間
ナビゲーションとマッピング/日常のログ、地面の記録/GPSログの逸脱/ネコログ
時層地図ー現在地、、現在時間/ダイアグラムと地理ーバスの路線図 ほか
・第三章 時間のスケール
地質学的時間感覚/温室が作る時間/園芸の楽しみー時間芸
植物の「時差ボケ」が映し出す、遠い原産地の季節/ソメイヨシノの時間
音声散歩「15分前の街」/時層写真/時間の単位、時間の形/ブランコの時間性 ほか
・第四章 境界のスケール
境界を持った領域としての「水平の床」/地球上のさまざまな「水平」
外部から見た都市/生け垣ーたゆまぬ境界の維持
私道の論理ーオープン外構を支えるクローズド街区
都心の里山ー原宿駅の林縁部/ベンチの周辺性/乗り換えのバリア ほか
・第五章 庭のスケール
都営スタイル/パーソナル・ナショナルガーデン/裏庭のコミュニティ
植栽基盤単位としての植木鉢/原風景の陥穽/7人の小人問題
ガーデニングー自然との終わりなき葛藤と屋外空間の「最適化」
「人工地形」が封印する土地の歴史/森という「外部」 ほか
著者:石川初
出版社:LIXIL出版
サイズ:210×150
ページ数:144
発行年:2012.09
