食と建築土木 たべものをつくる建築土木(しかけ)
農業や漁業を営むなかで、昔から食物の生産・加工のために用いられてきた農山漁村の23の建築土木を、多くの写真とともに紹介する。茶農家が冬期に柿を干すために組み立てる巨大な柿屋、砂丘地帯に畑地を確保するべく作られる砂防のための仮設物、海岸沿いの崖に連続して突き出す棚状の大根櫓など、これまであまり注目されることがなかったこれらの不思議な構築物は出自も定かでなく、永続的なかたちを持たない。しかし一方で人々の暮らしの営みと一体になったこれらの建築土木は、地域の風土や人間の知恵を伝え、魅力的な固有の風景を形づくり、私たちに今日の建築や食、そして文化のあり方について問いかけてくる。
■目次
・この不思議な構築物たち 後藤治
食べものつくる建築土木
丸干し大根の大根櫓 宮崎県宮崎市田野町
柿屋 京都府綴喜郡宇治田原町
つるし柿 福井県南条郡南越前町
ウド栽培の小屋 兵庫県三田市
ゆで干し大根の大根櫓 長崎県西海市西海町
・対談 建築という行為の本質 藤森照信×後藤治
土地の特性を活かすちえのかたち
木造ビニールハウス 愛媛県伊方町
遠州灘の砂防 静岡県掛川市
庄内砂丘の砂防 山形県酒田市
階段状ワサビ田 静岡県静岡市
防風垣 愛媛県伊方町・西予市
覆下茶園 京都府宇治市
・コラム 今日の建築論の視点から 松野勉
山・里の美味しい食べもの
串柿の柿屋 和歌山県伊都郡かつらぎ町
凍み豆腐干し 福島県福島市
芋切干しの芋穴 静岡県掛川市
凍乾場 長野県茅野市
・対談 美しい風景を味わう 島村菜津×後藤治
・コラム 農と農業 大江正章
くらしを守り、くらしを彩る
ナヤ、スベリ 愛媛県伊方町
壁結 福岡県うきは市
・インタビュー お茶の風景を守る、活かす 河北幸高
海・川のめぐみをうけとるしかけ
海苔ヒビ 三重県南伊勢町
カキ養殖 台湾金門島
威縄漁 福井県永平寺町
天草干し 静岡県下田市
ワカメ干し 兵庫県淡路市
魚垣 沖縄県宮古島市下地島
著者:後藤治、二村悟、小野吉彦
出版社:LIXIL出版
サイズ:A5
ページ数:208
発行年:2013.12
