「シェア」の思想/または愛と制度と空間の関係
21世紀のマーケット・トレンド、ビジネス・イノベーションの契機として、期待を込めて取り上げ
られている「シェア」。「シェア・ハウス」、「コワーキングスペース」、「n次創作」など「シ
ェア」の現象を形成する近代社会制度、政治、経済、哲学、建築、家族などの文脈を読み取りなが
ら、社会史・思想史的な展開のなかに位置づけ直し、「シェア」の実像と可能性を考えていく。
■目次
・序 門脇耕三 「シェア」による近代の超克
I. 都市化・近代化・市場化
<インタヴュー> 西沢大良 聞き手=門脇耕三
近代都市の根拠-新型スラムと二一世紀の都市の課題
<「シェア」をめぐる思考>
・古澤大輔 近代をリノベートする通時的かつ共時的アプローチ
・橋本健史 野生の思考で都市を記述する
・吉村靖孝 建築はそもそも-揺らぐ所有と情報技術
<「シェア」をめぐる実践>
古澤大輔、橋本健史、吉村靖孝
<論考>
・青井哲人 都市史のフレーム、パースペクティブからみたシェア論の地平
II. 政治・家族・コミュニケーション
<インタヴュー> 國分功一郎 聞き手=門脇耕三
・地域社会を「シェア」するミクロな政治-具体性のための制度設計
<「シェア」をめぐる思考>
・猪熊純 個がつながる時代の、家族・社会・建築
・中川エリカ
まるで、ちいさな世界みたいだ、という気分
-垂直にあつまるコーポラティブガーデン
・仲俊治 <食堂付きアパート>について
<「シェア」をめぐる実践>
・猪熊純(成瀬・猪熊建築設計事務所)LT城西、ガーデンテラス鷹の台、KOILほか
中川エリカ、仲俊治
<論考>
・西田亮介 わが国の「シェア」と参加の前提条件
消費社会、地方分権、データ駆動型(ドリブン)政治はなにをもたらしているのか
III. 働き方・生き方・価値観
<インタヴュー> 千葉雅也 聞き手=門脇耕三 悪いこともできる建築 秘密とモノ
<「シェア」をめぐる思考>
・連勇太朗 ひらかれた形式 Network, Takes Over
・pha フルサトをつくる-多拠点居住
・能作文徳 建築のアイデンティティとアクター・ネットワーク
<「シェア」をめぐる実践>
・連勇太朗(モクチン企画) モクチンレシピによる改修
・pha 東京-熊野
・能作文徳 《高岡のゲストハウス》
<論考>
門脇耕三
切断と連続のパラドクス-シェアの両極、あるいは空間からエレメントへ
・IV 座談
シェア、ネットワーク、エレメントとしての建築-価値の不確かさに向かって
中川エリカ+能作文徳+橋本健史+連勇太朗 司会=門脇耕三
著者:門脇耕三(編集協力)、西沢大良、古澤大輔、橋本健史、吉村靖孝、青井哲人、國分功一郎、猪熊純、中川エリカ、仲俊治、西田亮介、千葉雅也、連勇太朗、pha、能作文徳
出版社:LIXIL出版
サイズ:四六
ページ数:360
発行年:2015.07
