アトリエ・ワン 空間の響き/響きの空間 現代建築家コンセプト・シリーズ 5
INAXの若手現代建築家のコンセプトを紹介するシリーズ第5弾。
1992年の設立以来、建築はもとより、都市リサーチ、フィールド・ワーク、ワークショップ、展覧会、教育などのさまざまな場面で創造の手法を展開してきたアトリエ・ワン。かれらはそうした横断的な取組みによって豊かなヴォキャブラリーと思考を紡ぎ出し、建築・都市をとらえ、実践するためのフレームを培ってきた。本書では、そのようなフレームの根底にあるコンセプト=思考の母体(マトリクス)や仮説を拾い集める。多様であること、寛容であること、持続のなかでつくること、主体をずらすこと、再生産として考えること、自生的な秩序を観察すること、パフォーマンスを引き出すこと・・・。人と物と事、そして建築・都市がつくりだす円環のなかで、われわれの生や日常をアトリエ・ワンの視点で切り取ると、現実はときに夢のように美しく現われ、空間はより大きな響きを生産していく。
■目次
・建築の経験 序にかえて
「あり方」/「やり方」/空間の響き
・お面
定型と変形/周囲の建物と共有可能な修辞/風景、町並みに対する責任
・虫取り
機械モデルから生物多様性モデルへ/環世界、環境ユニット、環境的知性/メイド・イン・トーキョー
・動物の模型
抽象と具象/素材の性質をデヴァイスする/生命的ニュアンス
・イヌとイス
フォーマット/プロポーション/パフォーマンス
・掃除
油滴の振る舞い/アフォーダンス/空間的実践
・スポーツのコート
ルールの更新、仮説と空間/視覚芸術と時間芸術
・六本木交差点
群集的知性/マイクロ・パブリック・スペース/フラックス・マネージメント
・居候
主体に対する枠組みの掛け合い/人間以外のものの空間の知覚/寛容さ
・乗り換え
流れの空間/公共空間のイメージ/空間から時間へ/建築は時間的乗り物であり、生活は乗り換えの連続である
・治具
道具から治具へ/モノ、ヒトがいきいきするための再配置/生態学
・建物の世代
混沌とした風景の読み方/世代の混在/第4世代
・車の停め方
住宅地における車の取り扱い/共有制/観察と非定着
・ビルの知性
餡と皮/パラッツォ的状況の出現/連続性、反復性
・東京のモニュメント
英雄的空間/建物と都市計画のずれ/隅田川への引っ越し
・郊外の郊内化
郊外から効内へ/地域/地形
・振る舞いのかたち
著者:アトリエ・ワン
出版社:LIXIL出版
サイズ:210×150
ページ数:140
発行年:2009.10
