日本の伝統建築の構法 柔軟性と寿命
日本の建築物は明治時代まで殆どが木造建築であり、民家でも100年を超える多くの長寿命建築を支えてきた。本書では、日本建築の将来の寿命延長を考えるにあたり、社会の変遷に応じた増改築を行ってきた伝統的町家から、伝統構法のフレキシブルなシステムを見つめ直す。
■目次
第1章 木造建築の多様性
木造建築の多様性/木造住宅
第2章 和風伝統住宅のフレキシビリティー
和風建築と引き戸/壁の移動、柱の移動
なぜ増改築が自在なのか
増改築自在の範囲は畳モデュールの上で
規格生産に向いた「畳」モデュール
真壁造りのすべてが増改築自在であったか
和小屋化したプレハブの小屋組
和小屋の平面形のフレキシビリティー
和小屋のうま味/和小屋と真壁造りの合体
ヨーロッパに和小屋はないか/和小屋のルーツ
第3章 構法から見た桂離宮
桂離宮の増改築/背割り/チリじゃくり
継手・仕口と材料など/仕上げ
第4章 戦後の伝統木造建築の流れ
戦後の復興は国産材に頼る木造建築
日本の鉄筋コンクリート
都市不燃化に対する世論の高まり
森林資源の枯渇・木造建築の衰退
「森林建築研究フォラム」の発足
伝統的木造建築の新築
紆余曲折の社寺建築の新築
木造建築の衰退と復活
木の建築賞/4地域が一巡した
木材は水と太陽に恵まれた豊富な国産資源
第5章 文化財建造物見て歩き
旧四閑谷学校講堂/第四高等中学校
第五高等中学校/松本高等学校
札幌農学校演武場(時計台)
自由学園明日館/渡辺家住宅・佐藤家住宅
成巽閣/如庵/浄土寺浄土堂
当麻寺東塔/西塔/正倉院正倉
第6章 建築の寿命
人間の寿命、住宅の寿命
コンクリート建築は歴史的建築物となり得るか
最近のコンクリートは、100年耐えられるか
鉄筋コンクリート建築の実態を知りたい
近代建築の保存と長寿建築対策
まとめ 構法の技術と建築物の寿命
出展一覧
戦後大規模木造建築新築
あとがき
著者:内田祥哉
出版社:市ヶ谷出版社
サイズ:B5
ページ数:138
発行年:2009.10
