設計の設計
モダニズムを支えた規範的社会制度が崩壊し、微細な差異の集積としてのポストモダニズムが称揚され、思想や建築として体現された20世紀末。さらに「建築」が「アーキテクチャ」、「都市」が「グローバル・シティ」へと変質していくなかで、新たなプラットフォームづくりを急ぐ2000年代を過ごした私たちは、コンピュータをはじめ、いまや実装可能、実現可能になりつつあるさまざまなツールを用い、行動やプロセスのなかで、建築、空間、情報環境を設計し、人と社会の関係を設計しなおす試みを絶えず行なっている。
本書では、建築、技術開発、情報工学のイノベーターである若き5人が、過去のさまざまな成果のうえに立って、建築、空間、情報環境のまったく新しいパラダイムを立ち上げ、これからの時代の「設計の設計」のヴィジョンと実践を示す。
2010年末より半年間、「10+1 web site」で行なった連載「10+1 SCHOOL<建築・都市・情報>制作の方法」を大きく改稿、構成を更新し書籍化。
■目次
・今始まる「設計の設計」
・柄沢祐輔
非線形のフォームと新しい空間の表象-ネットワーク的な建築をめざして
第1・2回 20世紀初頭の空間概念の変動による近代芸術・近代建築運動の勃興
第3・4回 「瀋陽市方城地区計画(Shenyang Fangcheng Project)」の実践
実践にむかって
・田中浩也
アーキテクチュラル・コーディング-計算、造形、工作
第0回 コーディングとデザイン
第1回 パラメトリック・モデリングとゲーテ-型と派生の思考をめぐって
第2回 デザインの民主化/オープンソース化
第3回 デジタル・ファブリケーションとデジタル・マテリアリティ
実践にむかって
・藤村龍至
批判的工学主義から「設計」を考える-建築的思考と情報的思考の関わりから
第1回 「設計」をめぐる3つの問い
第2回 「超線形設計プロセス論」─130
第3回 「超線形設計プロセス論」の批判的検討─143
第4回 「超線形設計プロセス論」の応用──教育とコラボレーションの方法論として
実践にむかって
・ドミニク・チェン
プロクロノロジカル・デザインに向けて-情報の相同と継承の設計
第1回問題提起 創造の連帯のために
第2回 人工物の生態系
第3回 継承・相同系と記憶・模倣系
第4回 情報の生態学的な相同と継承
実践にむかって
・松川昌平
設計プロセス進化論-Algorism-建築の計算(不)可能性
第1回 設計プロセスの進化論的枠組み
第2回 モダニズム以前の設計プロセス
第3回 ポストモダニズム以降の設計プロセス
第4回 アルゴリズムを用いた設計プロセス
第5回 -Algorism-建築の計算(不)可能性
実践にむかって
・「設計の設計」のこれからを考える
著者:柄沢祐輔、田中浩也、藤村龍至、ドミニク・チェン、松川昌平
出版社:LIXIL出版
サイズ:A5
ページ数:316
発行年:2011.09
