近代建築を記憶する
近代建築史家松隈洋が綴る生活空間の創造をめざした建築家たち。時代の課題にこたえて誕生した近代建築の核心部部分を記憶にとどめたい。建築にできることの意味を真摯に求め続けた方法は現代建築が立ち戻るべき原点を指し示しているのではないだろうか。前川國男生誕100年の今、近代建築の初心から現代を解く思考の糸口を発見する。写真・図面などの図版も多数掲載。
■目次
・序 源泉としてのモダンの多様性 平良敬一
・まえがき
・第1章 近代建築の方法をさぐる
日本におけるモダニズム建築のかたち-DOCOMOMO20選から見えてくるもの/白い抽象の求めたこと/モダニズムの視線-開口部にみる空間意識のありかをめぐって/コンクリート表現の現在とその可能性
・遺産としての戦後近代建築-12題
・第2章 それぞれの建築家がめざしたもの
レーモンドを通して見えてくること/霊南坂の自邸・夏の家/ル・コルビュジエと日本、そして国立西洋美術館プロジェクト/モダニズムの広がりとペリアンの日本/構築への意志-「カーンなるもの」の両義性をめぐって/ルイス・カーンの建築を訪ねる/モダニズムの降臨-坂倉準三と神奈川県立近代美術館/人はなぜ建てるのか-吉阪隆正の見つめていたこと/モダニズムの両義性をめぐつて-土浦亀城と前川國男/透明性のありか-増沢洵の「コアのあるH氏のすまい」をめぐって/共同設計というユートピア-国際文化会館と3人の建築家
・第3章 前川國男を読み解く
木村産業研究所という出発点/前川國男の自邸/軽量化と工業化の求めたこと 日本相互銀行本店/晴海高層アパート/伝統と近代の葛藤 京都会館/前川國男が見つめていたこと 都市へのまなざしと紀伊国屋書店/「建築の前夜」の前川國男と所員たち/前川國男の戦前の意味/前川國男とテクニカル・アプローチ/課題としてのテクニカル・アプローチ 1950年代前半期の可能性をめぐって
・前川國男の作品24題
・あとがき
著者:松隈洋
出版社:建築資料研究社
サイズ:A5
ページ数:309
発行年:2005.06
