修復の理論

本書は修復の科学技術や技法を説くものではない。芸術作品や文化財の保存・修復が実行される以前、あらかじめ省察を必要とする理念を問題とする。わが国でも高松塚古墳、キトラ古墳の保護・継承をめぐり議論が高まる中、参照すべき必携の書である。

■目次

・日本語版序文

チェーザレ・ブランディについて　ジュゼッペ・バジーレ

・修復の理論

修復の概念／芸術作品における「物質」／芸術作品の「潜在的な統一性」／芸術作品と修復に関する「時間」／歴史性の要件からみた修復／美的な要件からみた修復／芸術作品における「空間」／予防的な修復

・補遺

偽造／欠損部処置の理論的注解／モニュメントの修復のための原則／古代絵画の修復／パティナ、ワニスおよびヴェラトゥーラに関連する絵画の洗浄／「ワニスとグレーズに関する事実に基づく考察」／修復の問題として額縁を取り去るか、それとも保存するか