
生活・詩情建築家 谷口吉郎 白い雪片のように清冽な意匠心
建築家谷口吉郎を文学的な視座から掘り下げる。
日本の近代建築を代表する谷口吉郎の建築論については、すでに多くの研究者によって出版されています。本書は日本の伝統文化と工業と文学、科学技術と環境など、詩的で美しい建築の谷口建築の源泉を探るものですが、谷口と昭和期の同時代を生きた多くの建築家、文学者や芸術家との交流について、膨大の文献資料を検証しその関係文献を要所、要所に配置しながら谷口吉郎の人物像を解き明かしていく点が秀逸です。
建築家谷口吉郎をこれまでにない文学的な視座から掘り下げた新たな作家論であり評伝です。
■目次
・監修によせて 谷口吉郎研究室の思い出 仙田満
・はじめに 谷口吉郎 古典から学ぶ「ユマニスト」・新古典主義建築家
・ヒューマニズムの「生活・詩情建築家」 日本には日本の家
・「ギリシャの教訓」 「アテネのパルテノン神殿」憧憬新刊
・科学(建築)と芸術(文学)の二元性 「両頭の蛇」的問題
・「茶の心」 千利休の影響
・「環境学的建築」 風圧・温度と室内気候
・「日本的なるもの」と「合一」「民衆の造形物」
・「まとめ」 谷口吉郎・吉生による「日本性の普遍化」
・おわりに 谷口の葬儀の「白い梅の花一輪」と臨終の謡曲「翁」
・あとがき 清浄なる意匠心を次の世代に「花」として
・引用参考文献 著書・論文リスト
著者:松野高久、仙田満
出版社:萌文社
サイズ:A5
ページ数:426
発行年:2023.01