視触 多中心・多視点の思考
和辻哲郎「風土」、コーリン・ロウ「透明性」、谷崎潤一郎「陰翳礼讃」の3つの古典を批判的に検討するほか、ポーランド派ポスターの草分けヘンリク・トマシェフスキ、昭和期を代表するデザイナー早川良雄等をとりあげ、ロシアアヴァンギャルド、モダニズム建築、現代音楽、さらには冷戦崩壊から今日に至る東欧や中南米の政治状況論まで、現場体験を混じえデザイナーならではの視線をもって思索する書。
■目次
・はじめに 「現在」に生きる姿
I. 視触を通して立ち上がる思考
視触/「自然」と向き合う中で紡がれる思考
「HIDDEN JAPAN─自然に潜む日本」
II. 発語し感応する身体
「裸形の精神」が引き上げる「発語する身体」武満 徹の紐解きから
空間に感応する身体 ジョン・ケージのチャンス・オペレーションの実践
III.建築と空間と精神
「音の建築家」の建築 ヤニス・クセナキス
モダニスム領域への点描法的参加 槇 文彦
天空から架けられる天幕 鈴木 恂
バナナの中身としての内部空間
IV. 今を生きる為に
生きものとしての距離
ほころび
中央アメリカの光と影 太陽や星の光が降りそそぐ「周縁」の人々から学ぶもの
V. 再考からの視座
コーリン・ロウ、ロバート・スラツキー「透明性 虚と実」 再考
和辻哲郎「風土 人間学的考察」再考
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」再考
VI. 実験精神が拓く創造
アレクサンドル・ロトチェンコの実験精神
早川良雄、境界溶融の精神
「芸術」と「芸術の酵母」を繋ぐヘンリク・トマシェフスキの造形哲学
爆発的に伝播する、サヴィニャックのユーモアとエスプリ
VII.「現在」を照射する思考と“眼振”から啓発される思考
現在を照射する鏡としての「仮想境界面」 彫刻、そしてインスタレーション
「眼振」がある事実から この世に静止した視点は存在しない
・あとがき 俯瞰できる眼
著者:矢萩喜従郎
出版社:左右社
サイズ:A5
ページ数:613
発行年:2014.03
