
旧朝香宮邸物語 東京都庭園美術館はどこから来たのか
アール・デコ様式で統一された優美なデザインで、他の美術館とは一線を画する東京都庭園美術館。2015年に国の重要文化財に指定された。本書ではこの世界でも稀に見るアール・デコ様式の館を往来した人々の歴史と記憶を、「旧朝香宮物語」としてまとめたもの。1933年竣工当時の貴重な写真と共に、アール・デコの館の魅力に迫り、また東京都庭園美術館がどのように活用、保存され未来へつながるのかの出発点となる書籍。
■目次
・はじめに
・一章 朝香宮家の人と暮らし 1906ー1947
朝香宮家のはじまり/フランスへのグランドツアー
パリでの生活 受領証綴/妃殿下のファッション
帰国~アール・デコの館の建設/館での華やかな暮らし
朝香宮邸としての終焉
インタヴュー 大給湛子(朝香宮鳩彦殿下第二女子)に聞く「朝香宮邸の日々」
コラム 元侍女の回想―「御候所」
・二章 アール・デコが東京にやってきた 1925ー1933
アール・デコ博覧会
アンリ・ラパンとの出会い/謎多き彫刻家ブランショ
内匠寮の職人技と、ラリックのガラスレリーフ扉
ラジエーター・カバーの優れたデザイン
マックス・アングランのエッチング・ガラス
海外の動向との接点
コラム 重要文化財 茶室「光華」
インタヴュー 多田正信(元宮内省内匠寮匠生)に聞く「朝香宮邸の設計」
・三章 朝香宮邸を守り抜いた人々 一九四七―一九八一
戦後の旧朝香宮邸―皇籍離脱・朝香宮から朝香家へ
吉田茂・目黒首相公邸/吉田茂とアール・デコの館
白金迎賓館/白金迎賓館中田虎一館長
白金プリンス迎賓館―現役として使用されていた旧朝香宮邸の家具
コラム マーブルプール 四章 東京都庭園美術館の誕生
・四章 東京都庭園美術館の誕生 1983ー
美術館として再出発―保存と活用の間での試行錯誤
展覧会事業と建物公開事業/保存と活用の両輪で
調査研究と新発見/外壁工事/タイルの修復
ウインターガーデンの公開
バラバラだった「香水塔」
美術館名の由来 三つの庭園
ひっそりと佇む三つの防空壕
コラム小客室アンリ・ラパン作壁画の修復について
・五章 「アール・デコ」リヴァイヴァル 一九八七―
伝説の装飾/リヴァイヴァル前夜
ポストモダン/ブールデル・デュフェ展
リヴァイヴァル以後
論考 日本近代の建築と装飾、あるいは「アール・デコ的」展開を巡って
・付録]
白金今昔―白金の土地を巡る物語
白金御料地での林間学校
著者:東京都庭園美術館
出版社:ART DIVER
サイズ:四六
ページ数:211
発行年:2018.04