
未来派 百年後を羨望した芸術家たち
なぜ百年後を羨望するか?私たちは、なぜ未来に憧れ、そして失敗するのか。
20世紀、そして21世紀における文化・政治・テクノロジー・広告といったさまざまな人間活動の萌芽であった芸術・社会運動「未来派」。
その「未来派」の全容に、宣言・運動・詩法・建築・ネットワーク・ダイナミズム・音楽・ファシズム・起源という9つの切り口で迫り、現代における「未来観」の再考をはかる。哲学者・美術批評家の多木浩二がイタリアで渉猟した膨大な書物や資料をもとに書いた渾身の遺作。
■目次
・第一章 未来派という現象
始動 『ポエジア』から『フィガロ』へ
運動 すべては動く、すべては走る、すべては変わる
詩法 人間の言葉を変える
建築 あたらしい都市
宣言 羽のついた「ことば」が世界を飛びまわる
ダイナミズム 未来派がもたらす概念
音楽 騒音が世界を変える
ファシズム 全体主義の出発点
起源 マリネッティの感受性と詩的思考
・第二章 未来派ギャラリー
・第三章 機械・ファシズム、そして人間
いまを生きる人間の義務/森鷗外と未来派/社会の変革を望んだ芸術運動
羨望される人間になりそこねた私たち/システムと統治権力が日常を覆い尽くす
「未来」の宿命の端緒をひらいた未来派/未来への待機/無力感が未来派というかたちとなってあらわれる
「戦争こそ世界の唯一の健康法(衛生法)だ」/芸術の宿命/未来派の悲惨さ
人間の思想は機械からは生まれない/現在という幸福は未来を羨望しない/未来派を媒介に全体主義を考える
日本の破局の水脈/科学と芸術と言葉を繋ぎ合わせる
・付録 未来派宣言の数々
・あとがきにかえて 多木陽介
著者:多木浩二
出版社:コトニ社
サイズ:150×150
ページ数:352
発行年:2021.06